核内レセプターを介して作用するホルモンはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)、およびステロイドホルモンは、脂溶性のため細胞膜を通過し、細胞質または核内に存在する受容体(核内受容体)に結合して遺伝子転写を直接制御することで作用します。インスリン、ガストリン、バソプレッシン、ノルアドレナリンといったペプチドホルモンやカテコールアミンは、水溶性であるため細胞膜を通過できず、細胞膜上に存在する受容体に結合し、細胞内情報伝達系(セカンドメッセンジャーなど)を介して作用します。
選択肢ごとの解説
- 1. インスリンは細胞膜上のチロシンキナーゼ型受容体(インスリン受容体)に結合し、細胞内にシグナルを伝達します。核内受容体とは異なります。正しくは:インスリンは細胞膜上の受容体に結合して作用します。選びやすい理由:ホルモンであることは認識しやすいですが、作用機序が問われているため、核内受容体との関連性を正確に把握していないと誤答しやすいです。混同注意:他のステロイドホルモンや甲状腺ホルモンが核内受容体であることと混同しやすいかもしれません。
- 2. ガストリンは消化管ホルモンであり、胃の壁細胞や腸クロム親和性細胞様の細胞表面にあるコレシストキニン2受容体(CCK2受容体)に結合して作用します。これも細胞膜上の受容体です。正しくは:ガストリンは細胞膜上の受容体に結合して作用します。選びやすい理由:消化器系のホルモンとして有名ですが、その受容体の場所まで正確に覚えていないと誤答する可能性があります。混同注意:ペプチドホルモンが一般的に細胞膜受容体を介することと、その例外(甲状腺ホルモンなど)を区別できていないと混同します。
- 3. バソプレッシン(抗利尿ホルモン)は、腎臓の集合管細胞膜上に存在するV1受容体(Gqタンパク質共役型)やV2受容体(Gsタンパク質共役型)に結合して作用します。細胞膜受容体を介します。正しくは:バソプレッシンは細胞膜上の受容体に結合して作用します。選びやすい理由:視床下部で産生され下垂体後葉から分泌される重要なホルモンであり、ホルモンであることは容易に認識できますが、受容体の種類を誤認しやすいです。混同注意:Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を介する多くのホルモンと混同しやすいです。
- 4. ノルアドレナリンは神経伝達物質であり、ホルモンとしても機能しますが、アドレナリン受容体(α受容体、β受容体)は細胞膜上に存在し、Gタンパク質共役型受容体として作用します。正しくは:ノルアドレナリンは細胞膜上の受容体に結合して作用します。選びやすい理由:カテコールアミンとして非常に馴染み深い物質であり、ホルモンとしても機能するため、選択肢として魅力的ですが、作用機序が問われている点を見落としやすいです。混同注意:ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンといった脂溶性ホルモンの作用機序と混同しやすいです。
- 5. 正解。トリヨードサイロニン(T3)は甲状腺ホルモンの一種であり、脂溶性が高いため細胞膜を自由に通過し、細胞質ではなく直接核内にある受容体(甲状腺ホルモン受容体)に結合します。この結合により遺伝子発現が調節され、様々な生理作用を発揮します。
国試ポイント
ホルモンの作用機序、特に受容体の局在(細胞膜上か細胞内・核内か)を問う問題です。脂溶性ホルモンと水溶性ホルモンの基本的な違いと、それに対応する受容体の種類・場所を正確に理解しているかが試されます。核内受容体には、ステロイドホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体、レチノイン酸受容体などがあります。
混同注意
核内受容体と細胞膜受容体を混同しやすい。特に「ホルモン」という言葉だけで判断せず、その分子の性質(脂溶性・水溶性)と典型的な作用機序をセットで覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、選択肢のホルモンが脂溶性か水溶性か、そしてその結果として細胞膜透過性があるか否かを確認します。これにより、受容体が細胞膜上か細胞内(核内)かを判断できます。特に核内受容体を介する主要なホルモン群(ステロイド、甲状腺)を覚えているかが鍵となります。
関連知識
ステロイドホルモン(例:コルチゾール、アルドステロン、性ホルモン)、ビタミンD、レチノイン酸も核内受容体を介して作用します。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、チロシンキナーゼ型受容体、イオンチャネル型受容体など、細胞膜受容体の種類とそれぞれの代表的なホルモンも関連知識として重要です。