タイプ・アンド・スクリーンで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
タイプ・アンド・スクリーン(Type and Screen: T&S)は、輸血が予測されるが、実際に必要になるかは不確実な場合に用いられる術前準備です。具体的には、患者の血液型(ABO式、Rh式)を検査し、さらに不規則抗体スクリーニング検査を実施します。これにより、患者が不規則抗体を保有していないことが確認できれば、実際に輸血が必要になった際に、ABO同型の血液とRhD陰性患者へのRhD陰性血液を選択し、検査室での即時交差適合試験(immediate spin crossmatch)またはコンピュータクロスマッチを行うことで、迅速に輸血用血液を供給できます。事前に交差適合試験まで実施しない点がポイントです。
選択肢ごとの解説
- 1. タイプ・アンド・スクリーンは、輸血の可能性に備えて、事前に患者の血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査を行う手法です。検体採取のみでは不十分です。正しくは:術前に患者の血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査を行います。選びやすい理由:緊急輸血に備える目的から、事前準備を最小限に抑えるイメージと誤解する可能性があります。混同注意:緊急時における交差適合試験の迅速化と混同する可能性があります。
- 2. タイプ・アンド・スクリーンでは、患者の血液型検査に加えて、不規則抗体スクリーニング検査も必須です。正しくは:術前に患者の血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査を行います。選びやすい理由:血液型検査が輸血において最も基本的な情報であるため、それだけで十分だと誤解する可能性があります。混同注意:血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査のいずれか一方のみで、T&Sが完了すると誤解する可能性があります。
- 3. 正解。タイプ・アンド・スクリーンは、輸血の必要性が高いが確実ではない手術などに際して、患者の血液型(ABO、RhD)の確認と、不規則抗体保有の有無を調べるスクリーニング検査を事前に実施することを指します。これにより、実際に輸血が必要になった際に、交差適合試験を迅速に行うことが可能になります。
- 4. タイプ・アンド・スクリーンでは、事前に交差適合試験までは実施しません。交差適合試験は、実際に輸血が必要になった際に、適合する血液を選択してから行われます。正しくは:実際に輸血が必要になった場合に備えて、適合する血液を準備し、交差適合試験を実施できるようにしておきます。選びやすい理由:交差適合試験も輸血準備の重要なステップであるため、T&Sの一部だと誤解する可能性があります。混同注意:T&Sと直接交差適合試験(クロスマッチ)を混同する可能性があります。T&Sはクロスマッチを迅速に行うための準備段階です。
- 5. すべての在庫血液と交差適合試験を行うことは、時間的、コスト的に非現実的です。また、タイプ・アンド・スクリーンでは、交差適合試験自体を事前に実施することはありません。正しくは:タイプ・アンド・スクリーンは、輸血の可能性に備えて、患者の血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査を事前に実施する手法です。選びやすい理由:万全を期すという観点から、あらゆる血液との適合を試みるという考えに結びつきやすいかもしれませんが、実用的ではありません。混同注意:交差適合試験の意義を理解しつつも、その実施範囲やタイミングについて誤解する可能性があります。
国試ポイント
タイプ・アンド・スクリーンは、輸血検査における重要な術前準備の一つであり、その定義、特に実施される検査項目(血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査)と、実施されない検査項目(事前交差適合試験)を正確に理解しているかが問われます。緊急時の輸血準備との違いも押さえる必要があります。
混同注意
タイプ・アンド・スクリーンの内容と、交差適合試験(クロスマッチ)や、より緊急性の高い「緊急輸血」のための準備を混同しやすいです。T&Sは交差適合試験を迅速に行うための準備段階であり、事前には交差適合試験そのものは行いません。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、タイプ・アンド・スクリーンの目的(輸血の迅速供給)、実施項目(血液型、不規則抗体スクリーニング)、実施しない項目(事前交差適合試験)の3点を確実に確認する。
関連知識
輸血前の検査には、ABO式・Rh式の血液型検査、不規則抗体スクリーニング検査、交差適合試験(主試験、副試験、間接抗グロブリン試験法など)があります。タイプ・アンド・スクリーンのほかに、必要性が確実な場合に用いられる『全血貯留(Reserve)』や、より緊急性が高い場合の『緊急輸血』といった概念も関連知識として重要です。