肝硬変で低値を示すのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
肝硬変では、肝細胞の機能が著しく低下し、肝臓でのタンパク質合成能力が損なわれます。コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓で合成される酵素であり、その合成能低下を反映して血中濃度は低値を示します。そのため、ChEは肝臓の合成能や予備能を評価する重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝硬変では肝臓でのアンモニア代謝能力が低下するため、血中アンモニア濃度は上昇します。正しくは:肝硬変ではアンモニアは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:肝機能低下を示す項目の一つではあるが、低値ではなく高値を示す点で誤り。混同注意:肝性脳症の原因物質であるため、肝機能との関連は理解しやすいが、その変動方向を混同しやすい。
- 2. 肝硬変ではビリルビン代謝・排泄能力が低下するため、血中総ビリルビン濃度は上昇します。正しくは:肝硬変では総ビリルビンは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:肝機能低下の指標として知られているため、肝硬変との関連は正しいが、低値ではなく高値を示す点で誤り。混同注意:肝機能障害による黄疸の主要な原因物質であり、肝機能との関連は明確だが、その変動方向を混同しやすい。
- 3. 正解。コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓で合成されるタンパク質であり、肝硬変など肝臓の合成能が低下する疾患ではその血中濃度が低値を示します。肝予備能の指標として用いられます。
- 4. 肝硬変では慢性的な炎症反応や免疫機能異常により、血中γ-グロブリン濃度は高値を示すことが多いです。正しくは:肝硬変ではγ-グロブリンは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:肝機能低下を示す他の項目と混同し、その変動方向を見誤りやすい。混同注意:肝臓病による免疫系の活性化と、肝臓でのタンパク質合成能低下による他のタンパク質の低下を混同しやすい。
- 5. γ-GT(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)は主に胆道系酵素であり、肝硬変ではしばしば胆汁うっ滞を伴うため、血中濃度は高値を示すことが多いです。正しくは:肝硬変ではγ-GTは高値を示すことが多いです。選びやすい理由:肝機能検査項目の一つであるため、肝硬変との関連は正しいが、低値ではなく高値を示す点で誤り。混同注意:GPT/GOTなどの他の肝酵素と合わせて肝機能マーカーとして認識されやすいが、その変動パターンは異なる場合がある。
国試ポイント
肝硬変における肝機能検査項目の変動方向(高値・低値)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、肝臓の合成能を反映する項目と、肝細胞破壊や胆汁うっ滞を反映する項目との違いを把握しておく必要があります。
混同注意
肝機能検査項目には、肝細胞逸脱酵素(AST, ALTなど)、胆道系酵素(ALP, γ-GTなど)、肝合成能(ChE, アルブミン, プロトロンビン時間など)、排泄能(ビリルビンなど)を評価するものがあり、それぞれが肝障害の種類や病期によって異なる変動を示すため、これらを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、肝臓の『合成機能』を評価する項目(アルブミン、ChE、PTなど)と『逸脱酵素』『胆汁うっ滞』『排泄機能』を評価する項目(AST, ALT, ALP, γ-GT, ビリルビンなど)に分類し、それぞれの肝疾患における変動方向を正しく判断できるかを確認します。
関連知識
肝臓の合成能を示す他の項目としては、アルブミンやプロトロンビン時間(PT)の延長も重要です。これらも肝硬変で低値(アルブミン)や延長(PT)を示します。逆に、肝細胞の破壊を反映するAST(GOT)、ALT(GPT)や、胆道系の閉塞・炎症を反映するALP、γ-GTは高値を示すことが多いです。