播種性血管内凝固〈DIC〉の診断に用いられないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、基礎疾患により凝固系が異常に活性化され、全身の細小血管内に多発性の血栓が形成される病態です。これにより凝固因子や血小板が消費され、出血傾向も呈します。診断には、フィブリンモノマー複合体(SFMC)、プロトロンビンフラグメント1+2(PF1+2)、トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)、プラスミン・プラスミンインヒビター複合体(PIC)などの凝固・線溶活性化マーカーが用いられます。一方、抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体はヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の診断に特異的に用いられる抗体であり、DICの診断には関連しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリンモノマーがポリマー化する前にフィブリン分解産物(FDP)と結合し、可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)として血中に存在します。これはDICの活動性を示すマーカーとして診断に用いられます。正しくは:これはDICの診断に用いられます。選びやすい理由:複雑な名前の検査項目であり、特定の疾患にしか使われないため、知らないと誤って選ぶ可能性があります。混同注意:他の凝固・線溶系マーカーと混同する可能性があります。
- 2. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、プロトロンビンがトロンビンに変換される際にプロトロンビンフラグメント1+2(PF1+2)が遊離します。これはトロンビン産生亢進のマーカーであり、DICにおける凝固系の活性化を示す指標として診断に用いられます。正しくは:これはDICの診断に用いられます。選びやすい理由:他の凝固活性化マーカーと区別がつかず、どれがDICに特異的か迷うかもしれません。混同注意:D-ダイマーやFDPといった線溶系マーカーと混同する可能性があります。
- 3. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、トロンビンが過剰に産生され、それを抑制するためにアンチトロンビンと結合してトロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)を形成します。これはトロンビンの産生亢進、すなわち凝固系の活性化を示す非常に重要なマーカーであり、DICの診断に広く用いられます。正しくは:これはDICの診断に用いられます。選びやすい理由:複合体という名称から、特定の病態に限定されるものと勘違いする可能性があります。混同注意:他の血栓形成関連マーカーと混同する可能性があります。
- 4. 正解。抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体(抗PF4/ヘパリン抗体)は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の診断に用いられる検査項目です。播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断には直接関連しません。正しくは:これはヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の診断に用いられます。選びやすい理由:抗体という言葉から、免疫学的機序が関わる血小板減少を伴う疾患全般に関連すると誤解する可能性があります。また、DICでも血小板減少が見られるため、選択肢として違和感がないように感じやすいです。混同注意:DICでも血小板減少や血栓形成が見られるため、鑑別疾患の一つとして関連すると誤解しやすいです。特に、両者とも血栓性疾患であるため、混同しやすいです。
- 5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、線溶系が亢進してプラスミンが過剰に産生され、それを抑制するためにプラスミンインヒビターと結合してプラスミン・プラスミンインヒビター複合体(PIC)を形成します。これは線溶系の活性化を示すマーカーであり、DICの診断に用いられます。正しくは:これはDICの診断に用いられます。選びやすい理由:複雑な名前の検査項目であり、特定の疾患にしか使われないため、知らないと誤って選ぶ可能性があります。混同注意:他の凝固・線溶系マーカー、特にSFMCやFDP/D-ダイマーと混同する可能性があります。
国試ポイント
凝固・線溶系の疾患において、どの検査項目がその疾患の病態を反映し、診断に用いられるかを正確に理解しているかが問われています。特に、DICとHITのような血栓性疾患で共通する症状(血小板減少など)があっても、診断マーカーは異なることを把握しておく必要があります。
混同注意
DICとヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はどちらも血栓性疾患であり、血小板減少を伴うことがあるため、関連する検査項目が混同されやすいです。特に、DICの複雑な病態(凝固亢進と線溶亢進が同時に起こる)に関わる多様なマーカーと、特定の薬剤(ヘパリン)に起因する抗体検査を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、選択肢に挙げられた各検査項目がどの病態・疾患の診断マーカーとして用いられるかを一つずつ確認し、特に血栓性疾患や出血性疾患で共通する症状がある場合の鑑別疾患と診断マーカーの関連性を問う視点で判断します。
関連知識
DICの診断基準(厚生労働省の診断基準など)、凝固・線溶系の生理学と各因子の役割、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の病態と診断基準。