PCR法の原理で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
PCR法では、標的DNA配列を挟むように設計された2種類の異なるオリゴヌクレオチドプライマーが必須です。これらのプライマーは、アニーリングステップでそれぞれの相補的な配列に結合し、DNAポリメラーゼが新しいDNA鎖を合成するための開始点となります。
選択肢ごとの解説
- 1. DNAの二本鎖を一本鎖に分離させる熱変性ステップは、通常90℃〜98℃の高温で行われます。これはDNAの水素結合を完全に切断し、分離させるために必要です。正しくは:DNAの二本鎖を一本鎖に分離させる熱変性ステップは、およそ90℃〜98℃の温度で行われます。選びやすい理由:60℃という温度がアニーリングステップの温度に近い場合があるため、混同しやすいです。混同注意:アニーリングステップ(プライマーが結合する温度)
- 2. 正解。PCR法では、標的DNA配列の両端に相補的に結合し、DNAポリメラーゼによる合成の起点となる順方向と逆方向の2種類のオリゴヌクレオチドプライマーが必須です。選びやすい理由:PCR法の基本原理を正しく理解していれば、この選択肢が正しいと判断できます。混同注意:一本鎖DNAの複製や、プライマーが必要ない遺伝子増幅法
- 3. DNAの増幅反応は、一般的に25〜40サイクル実施されます。50サイクルは過剰であり、非特異的な増幅産物やプライマーダイマーの生成が増加しやすくなります。正しくは:DNAの増幅反応は、一般的に約25〜40サイクル実施されます。選びやすい理由:サイクルの回数が多いほど増幅効率が高いと誤解しやすいですが、過剰なサイクルは非特異的産物の増加につながります。混同注意:単純に増幅を重ねる回数が多いほど良いという誤解
- 4. DNAポリメラーゼによる新しい鎖の合成(伸長反応)は、鋳型DNAの3'末端側から5'末端側へと進行し、合成される新しい鎖は常に5'末端から3'末端の方向へ延長されます。これはDNAポリメラーゼが3'-OH基にのみヌクレオチドを付加できるためです。正しくは:DNAポリメラーゼによる新しい鎖の合成(伸長反応)は、DNAの3'末端から5'末端の方向へ進行します。選びやすい理由:DNAの二重らせん構造と複製メカニズムに関する知識が曖昧だと、方向性を間違えやすいです。混同注意:DNAの鎖の全体的な方向性(5'末端と3'末端)
- 5. 定量PCR法において、サンプル中の標的DNA量が多いほど、蛍光シグナルが閾値を超えるまでのサイクル数であるCt値(Threshold Cycle)は小さくなります。これは、初期DNA量が多いほど少ないサイクル数で検出可能になるためです。正しくは:定量PCR法において、サンプル中の標的DNA量が多いほどCt値(Threshold Cycle)は小さくなります。選びやすい理由:Ct値という概念が新しいと感じる受験生は、数字が大きい方が良いと誤解しやすいです。また、Ct値が検出までの時間と混同されることもあります。混同注意:検出までの時間や増幅産物の最終量
国試ポイント
PCR法の基本的な原理と各ステップの役割、および定量PCRにおけるCt値の意味を理解する。
混同注意
PCR法と他の遺伝子増幅法(例:LAMP法)や、DNA複製におけるプライマーの役割との混同。
次に同じ論点が出たら
PCR法の基本原理に関する問題では、熱変性温度、プライマーの種類と役割、伸長方向、サイクル数、および定量PCRにおけるCt値の定義が正しく記述されているかを確認します。
関連知識
PCR法の3つの基本ステップ(熱変性、アニーリング、伸長反応)の温度と目的、使用されるTaqポリメラーゼの耐熱性、定量PCR(qPCR)における蛍光検出の原理。