H-E染色標本(別冊No. 10)を別に示す。この臓器はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下に示すH-E染色標本は、粘膜固有層に多数の管状腺(胃腺)が認められ、表面は粘液を産生する単層円柱上皮で覆われている特徴から、胃の組織像であると判断できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。示されたH-E染色標本は、胃粘膜の特徴である胃腺(胃底腺または幽門腺のいずれか)と、その表面を覆う粘液細胞が観察され、これは胃に特有の組織構造であるため、正答となります。特に、粘膜固有層には胃腺が密に分布しており、粘液産生細胞が豊富に見られます。
- 2. 食道の粘膜は重層扁平上皮で覆われており、粘膜下組織には食道腺が見られることがありますが、示された画像のような胃腺構造は通常観察されません。正しくは:食道は重層扁平上皮と粘膜固有層の乳頭状構造、および粘膜下層の食道腺が特徴です。胃腺のような構造は観察されません。選びやすい理由:消化管の一部であるため、混同しやすいかもしれませんが、組織学的な特徴は大きく異なります。混同注意:胃と食道は連続する臓器ですが、組織学的には上皮の種類が大きく異なります(重層扁平上皮 vs 単層円柱上皮)。
- 3. 大腸の粘膜は多数の陰窩(リーベルキューン腺)を持ち、杯細胞が豊富ですが、示された画像のような胃腺の形態や粘膜上皮の細胞構成とは異なります。正しくは:大腸は粘膜にリーベルキューン腺という直線的な腺構造と豊富な杯細胞が特徴です。胃腺の構造とは異なります。選びやすい理由:消化管の一部として、腺構造がある点で似ていると感じるかもしれませんが、腺の形態や細胞構成が異なります。混同注意:胃と大腸はどちらも腺構造を持つ消化管ですが、胃腺は深部まで及ぶ一方、大腸の腺はより直線的で杯細胞が顕著です。
- 4. 肺の組織は、気管支、細気管支、肺胞などから構成され、呼吸上皮や肺胞上皮細胞、弾性線維などが特徴的です。示された画像のような消化管の腺構造とは全く異なります。正しくは:肺は肺胞、気管支、血管などで構成され、その組織像は消化管とは全く異なります。選びやすい理由:まったく異なる臓器ですが、組織標本の識別に慣れていないと、どれがどの臓器か判断に迷う可能性があります。混同注意:明らかに異なる系統の臓器(呼吸器系と消化器系)であり、組織学的な混同は起こりにくいですが、組織学的な知識が不足している場合に選択肢として迷うことがあります。
- 5. 膀胱は移行上皮で覆われ、その下には筋層が発達していますが、示された画像のような腺構造は通常存在しません。正しくは:膀胱は移行上皮と、その下の固有層、そして発達した筋層が特徴です。腺構造は通常見られません。選びやすい理由:まったく異なる臓器ですが、組織標本の識別経験が少ないと、どれがどの臓器か判断に迷う可能性があります。混同注意:消化管とは異なる系統の臓器(泌尿器系)であり、組織学的な混同は起こりにくいですが、組織学的な知識が不足している場合に選択肢として迷うことがあります。
国試ポイント
本問題は、消化器系の主要な臓器におけるH-E染色標本の組織学的特徴を正確に識別できるかを問うものです。特に、胃腺の構造、粘液産生細胞の存在といった胃に特有の所見を捉えることが重要です。
混同注意
胃、食道、大腸はいずれも消化管であり、腺構造を持つ点で混同しやすい可能性があります。特に、胃腺、食道腺、リーベルキューン腺(大腸)の形態学的違いを明確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出題された場合、まず臓器の系統(消化器、呼吸器、泌尿器など)を大まかに特定し、その上で各臓器に特有の粘膜上皮の種類、腺構造の形態、その他特徴的な細胞や構造の有無に注目して判断します。
関連知識
各消化管臓器の粘膜上皮の種類(重層扁平上皮、単層円柱上皮)、腺の種類と特徴、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層の構造、そしてそれらの組織学的な識別ポイントについて理解を深めることが重要です。