イムノクロマト法による便潜血検査について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
イムノクロマト法は抗原抗体反応を利用した免疫学的検査であるため、抗原(便中のヘモグロビン)濃度が非常に高い場合に、過剰な抗原が抗体結合部位を飽和させ、抗原抗体複合体形成が阻害されることで偽陰性を示すプロゾーン現象が発生する可能性があります。これは免疫測定全般で起こりうる現象であり、イムノクロマト法においても同様に注意が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 便潜血検査の検体は、冷凍ではなく冷蔵で保存・輸送することが推奨されます。冷凍すると赤血球が破壊され、正確な結果が得られない可能性があります。正しくは:検体は冷蔵で輸送します。選びやすい理由:一般的な検体輸送の知識から、保存性を高めるために冷凍を連想しやすいですが、本検査には適しません。混同注意:他の検体(例:核酸検査用検体など)で冷凍保存が適切な場合があることと混同しやすいです。
- 2. イムノクロマト法(免疫法)による便潜血検査は、ヒトヘモグロビンを特異的に検出するため、肉などの食品由来のヘモグロビンには反応しません。そのため、食事制限は不要です。正しくは:検査前に食事制限は不要です。選びやすい理由:従来のグアヤック法(化学法)では食事制限が必要であったため、その知識と混同しやすいです。混同注意:グアヤック法による便潜血検査とイムノクロマト法による便潜血検査の違いと混同しやすいです。
- 3. IgG感作赤血球は、クームス試験(抗グロブリン試験)などの赤血球凝集反応を検出する際に用いられますが、イムノクロマト法による便潜血検査では使用しません。本検査では、抗ヒトヘモグロビン抗体と結合した標識粒子を用います。正しくは:抗ヒトヘモグロビン抗体と標識粒子を使用します。選びやすい理由:「免疫」というキーワードから、IgGや赤血球に関する免疫学的な反応を連想しやすいですが、イムノクロマト法の原理とは異なります。混同注意:免疫学検査全般における様々な原理や試薬(例:凝集反応、ELISAなど)と混同しやすいです。
- 4. 正解。イムノクロマト法は抗原抗体反応を利用するため、抗原(便中のヘモグロビン)濃度が極めて高い場合に、抗体との結合が飽和し、偽陰性となるプロゾーン現象が起こる可能性があります。正しくは:正答のため修正不要。選びやすい理由:プロゾーン現象は特定の免疫測定法で起こる現象であり、イムノクロマト法でも注意すべき点として認識されています。
- 5. 上部消化管からの出血では、ヘモグロビンが消化酵素によって分解されやすいため、下部消化管出血と比較してイムノクロマト法での検出感度は低くなります。正しくは:上部消化管出血の場合、下部消化管出血よりも検出感度が低くなる傾向があります。選びやすい理由:どちらも出血であるため、検出感度が同じであると誤解しやすいですが、ヘモグロビンの分解が関与します。混同注意:便潜血検査が消化管出血を全般的に検出する検査であるという認識と、消化管部位によるヘモグロビン分解の影響を混同しやすいです。
国試ポイント
イムノクロマト法による便潜血検査の原理、特徴、および注意点(特に従来の化学法との違い)について正確な知識が問われています。検体の取り扱い、食事制限の有無、検出のメカニズム、そして免疫反応特有の現象(プロゾーン現象)に関する理解が重要です。
混同注意
従来のグアヤック法(化学法)による便潜血検査の知識と混同しやすい。また、免疫学的検査全般の原理とイムノクロマト法特有の原理を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、イムノクロマト法以外の免疫測定法(ELISA、凝集反応など)におけるプロゾーン現象の有無や、便潜血検査の新しい技術(例:DNA検査)に関する知識が問われる可能性があります。また、検体処理の注意点についても、より詳細な条件設定(時間、温度など)が問われるかもしれません。
関連知識
イムノクロマト法の原理(抗原抗体反応、標識抗体、メンブレン上での移動)、プロゾーン現象のメカニズム、グアヤック法との比較、便潜血検査の臨床的意義(大腸がんスクリーニングなど)。