網膜芽細胞腫の原因遺伝子はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
網膜芽細胞腫は、RB1(Retinoblastoma gene 1)遺伝子の機能喪失によって引き起こされる遺伝性または散発性の悪性腫瘍です。RB1は細胞周期のG1/S期チェックポイントを制御する重要な腫瘍抑制遺伝子であり、その両アレルが不活化することで網膜芽細胞が制御不能に増殖し、腫瘍を形成します。
選択肢ごとの解説
- 1. ABL1は慢性骨髄性白血病(CML)の原因遺伝子の一つであり、網膜芽細胞腫とは関連がありません。正しくは:ABL1はフィラデルフィア染色体と関連し、慢性骨髄性白血病の原因となる遺伝子です。選びやすい理由:がん関連遺伝子であるため、他の選択肢との関連で混同する可能性があります。混同注意:さまざまな種類のがん遺伝子、がん抑制遺伝子
- 2. BRCA1は遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の原因遺伝子であり、網膜芽細胞腫とは異なります。正しくは:BRCA1は乳がんや卵巣がんの発症リスクを高める遺伝子です。選びやすい理由:BRCA1もがん抑制遺伝子として知られており、遺伝性腫瘍と関連するため、類推で選んでしまう可能性があります。混同注意:他の遺伝性腫瘍の原因遺伝子
- 3. EGFRは上皮成長因子受容体であり、肺がんなど多くのがんの発生や増殖に関与しますが、網膜芽細胞腫の主な原因遺伝子ではありません。正しくは:EGFRは非小細胞肺がんなどで標的となる遺伝子です。選びやすい理由:がん治療の標的としてよく耳にする遺伝子であるため、知識が曖昧だと選んでしまう可能性があります。混同注意:様々ながんの増殖因子受容体
- 4. KRASは多くの悪性腫瘍(膵がん、大腸がん、肺がんなど)で変異が認められるがん遺伝子ですが、網膜芽細胞腫の直接の原因遺伝子ではありません。正しくは:KRASはRAS経路の構成因子であり、様々ながんのドライバー遺伝子として機能します。選びやすい理由:KRASも非常によく知られたがん遺伝子であり、多くの腫瘍と関連するため、知識が不確かな場合に選びやすいです。混同注意:がん遺伝子とがん抑制遺伝子の区別
- 5. 正解。RB1遺伝子は、網膜芽細胞腫の発生に深く関わる最も重要な遺伝子です。これは網膜芽細胞腫遺伝子とも呼ばれ、細胞周期の制御に関わるがん抑制遺伝子です。この遺伝子の両アレルが不活化することで網膜芽細胞腫が発症します。選びやすい理由:他の有名ながん遺伝子/がん抑制遺伝子との混同を防ぐために、特異的な知識が必要です。混同注意:他のがん抑制遺伝子
国試ポイント
本問題は、特定のがん種とその原因遺伝子の最も直接的な関連を問う典型的な形式です。特に、遺伝性腫瘍症候群とその原因遺伝子は国家試験で頻出であり、網膜芽細胞腫とRB1遺伝子の関係は基礎的な知識として重要です。
混同注意
様々な種類のがん遺伝子やがん抑制遺伝子(例:p53、APC、WT1、VHLなど)と、それぞれが関連する疾患名を混同しやすい。特に、遺伝性腫瘍の原因遺伝子群はセットで覚える必要がある。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、他のがん種(例:家族性大腸腺腫症、Von Hippel-Lindau病、Li-Fraumeni症候群など)とその原因遺伝子(APC、VHL、p53など)の組み合わせを正確に答えられるかを確認する。また、がん遺伝子とがん抑制遺伝子の基本的な違いについても理解しているかを問う問題も想定される。
関連知識
KnudsonのTwo-hit仮説:遺伝性網膜芽細胞腫では生殖細胞系列に変異を持つため、網膜芽細胞で残りの正常な1アレルに変異(second hit)が生じると発症する。散発性では両アレルに変異が生じる必要がある。RBタンパク質はE2F転写因子と結合し、細胞周期を停止させる機能を持つ。RB1遺伝子の異常は網膜芽細胞腫だけでなく、他の腫瘍(例:骨肉腫)のリスクも高めることが知られている。