下気道感染症患者の喀痰のGram染色標本(別冊No. 11)を別に示す。分離菌は5%ヒツジ血液寒天培地およびチョコレート寒天培地に発育した。推定されるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
グラム染色像では、白血球内に貪食されたグラム陰性双球菌が多数認められる。また、5%ヒツジ血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方で増殖するという培養性状から、Moraxella catarrhalisが最も強く疑われる。これは下気道感染症の起因菌としてもしばしば検出される。
選択肢ごとの解説
- 1. Fusobacterium nucleatumはグラム陰性桿菌で、画像のような双球菌ではない。また、偏性嫌気性菌であり、通常の血液寒天培地やチョコレート寒天培地の好気条件下では増殖しない。正しくは:グラム陰性桿菌であり、嫌気培養で増殖する。選びやすい理由:下気道感染症、特に誤嚥性肺炎などで検出されることがあるため。混同注意:他のグラム陰性桿菌や嫌気性菌。
- 2. Haemophilus influenzaeはグラム陰性球桿菌であり、グラム染色では形態が異なる。また、5%ヒツジ血液寒天培地では増殖せず、チョコレート寒天培地でのみ増殖する(X因子とV因子を必要とするため)。正しくは:グラム陰性球桿菌であり、チョコレート寒天培地でのみ増殖する。選びやすい理由:下気道感染症の主要な起因菌であり、グラム陰性菌であるため。しかし、血液寒天での増殖性状と形態が異なる。混同注意:Moraxella catarrhalisの培養性状。
- 3. Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌であり、画像のような双球菌ではない。血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方で増殖するが、形態が異なるため誤り。正しくは:グラム陰性桿菌である。選びやすい理由:下気道感染症の起因菌であり、血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方で増殖する菌であるため。混同注意:グラム陰性菌の形態。
- 4. 正解。画像所見として、白血球内に貪食されたグラム陰性双球菌が認められる。また、Moraxella catarrhalisは5%ヒツジ血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方で増殖する。これらの特徴が問題文の情報と完全に合致するため、最も可能性が高い。選びやすい理由:グラム陰性双球菌という形態からNeisseria属と混同しやすいが、臨床状況と培養性状で区別できる。混同注意:Neisseria属。
- 5. Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌であり、画像のような双球菌ではない。また、緑膿菌は通常、血液寒天培地で緑色色素を産生する特徴があるが、形態が異なるため誤り。正しくは:グラム陰性桿菌である。選びやすい理由:下気道感染症、特に院内肺炎などで検出されることがあるため。混同注意:他のグラム陰性桿菌。
国試ポイント
下気道感染症におけるグラム染色所見と培養性状から主要な起因菌を同定できるか。
混同注意
Haemophilus influenzaeもグラム陰性桿菌で培養性状が似ているが、グラム染色では球桿菌として認められる。Neisseria属もグラム陰性双球菌だが、下気道感染症の起因菌としては稀。
次に同じ論点が出たら
グラム染色でグラム陰性双球菌が認められ、血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方で増殖する株であれば、Moraxella catarrhalisを第一に鑑別する。
関連知識
Moraxella catarrhalisは、高齢者やCOPD患者における気管支炎や肺炎の起因菌となる。また、中耳炎や副鼻腔炎の原因菌でもある。β-ラクタマーゼ産生株が多いことにも留意が必要。