細胞診検体で抗凝固剤を添加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
体腔液(胸水、腹水、心嚢液など)は、病態によってはフィブリノーゲン濃度が高くなり、採取後に凝固してフィブリン塊を形成しやすい特徴があります。このフィブリン塊に異常細胞が閉じ込められると、細胞診検査で正しい診断が困難になるため、検体採取時には抗凝固剤(通常はヘパリンやEDTA)を添加して凝固を防ぐ必要があります。これにより、細胞の均一な塗抹が可能となり、正確な検査結果が得られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 膵液は主に酵素活性や微生物検査に用いられ、細胞診検体として抗凝固剤を添加することは一般的ではありません。フィブリン析出による細胞捕捉は通常問題となりません。正しくは:膵液採取時に抗凝固剤を添加することは一般的ではありません。選びやすい理由:体液の一種であるため、他の体液と同様に凝固が問題になると誤解する可能性があります。混同注意:他の消化管液と混同したり、凝固のメカニズムと体液の種類による違いを理解していないと誤る可能性があります。
- 2. 髄液は生理的にタンパク質やフィブリノーゲン濃度が非常に低く、通常は凝固しません。そのため、細胞診検体として抗凝固剤を添加する必要はありません。抗凝固剤の添加は細胞数算定や生化学検査の結果に影響を与える可能性があります。正しくは:髄液は通常凝固しないため、抗凝固剤は不要です。選びやすい理由:脳脊髄液は重要な検査検体であり、厳重な管理が必要という認識から、抗凝固剤もその一環かと考えるかもしれません。混同注意:血液検体の凝固防止の常識と、生理的に凝固しない体液との区別ができていないと誤る可能性があります。
- 3. 胆汁は、通常、細胞診検体として抗凝固剤を添加することはありません。微生物検査や生化学検査が主な目的で、凝固による細胞捕捉は問題視されません。正しくは:胆汁に抗凝固剤を添加することは一般的ではありません。選びやすい理由:消化液の一種であり、病態によっては粘稠性が増すことがあるため、凝固を心配するかもしれません。混同注意:体腔液との違いや、それぞれの体液の組成、および抗凝固剤添加の必要性の有無を混同することがあります。
- 4. 正解。胸水、腹水、心嚢液などの体腔液は、炎症や腫瘍性疾患などによりフィブリノーゲンやタンパク質濃度が高くなると、採取後に凝固してフィブリン塊を形成することがあります。このフィブリン塊の中に目的の細胞(特に異型細胞や悪性細胞)が閉じ込められると、塗抹標本作成や細胞観察が困難になり、偽陰性の原因となるため、細胞診検体では抗凝固剤(ヘパリン、EDTAなど)の添加が必須です。
- 5. 十二指腸液は、膵液と同様に主に酵素検査や寄生虫検査、微生物検査に用いられます。細胞診検体として抗凝固剤を添加することは一般的ではなく、凝固が問題となることは稀です。正しくは:十二指腸液に抗凝固剤を添加することは一般的ではありません。選びやすい理由:他の消化管液と同様に、体液として凝固の可能性を考慮するかもしれません。混同注意:消化液の種類と、凝固の発生頻度や細胞診検査における重要性を混同することがあります。
国試ポイント
この問題は、細胞診検査における検体処理の基本知識、特に各種体液の特性と抗凝固剤添加の必要性について理解しているかを問うものです。検体の適切な前処理は、正確な診断を得る上で極めて重要です。
混同注意
髄液のように生理的に凝固しない体液と、病態によって凝固しやすい体腔液との区別が曖昧になりがちです。また、血液検査における抗凝固剤の使用目的と、細胞診検体における抗凝固剤の使用目的の違いも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各体液が『高タンパク質・高フィブリノーゲン濃度になりやすいか』、そして『凝固が細胞診検査にどの程度影響を与えるか』という点を判断基準にすると良いでしょう。特に体腔液は病態によりこれらの濃度が変動しやすいため注意が必要です。
関連知識
抗凝固剤の種類(ヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウムなど)と作用機序、各体液の生理的組成と病理的変化、細胞診検体の採取・搬送・処理に関するガイドライン、偽陰性・偽陽性を避けるための検体管理の重要性。