細菌と毒素の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
選択肢4が誤りです。A群レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)が産生する毒素性ショック症候群関連毒素は「ストレプトコッカス発熱性外毒素(Streptococcal pyrogenic exotoxins: SPEs)」や「ストレプトコッカス毒素性ショック症候群毒素(Streptococcal toxic shock syndrome toxin: STSS毒素)」と呼ばれます。一方、「毒素性ショック症候群毒素1(Toxic shock syndrome toxin-1: TSST-1)」は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する毒素です。両者は異なる細菌から産生され、類似の病態(毒素性ショック症候群)を引き起こしますが、毒素の種類と産生菌は明確に区別されます。
選択肢ごとの解説
- 1. この組み合わせは正しいです。破傷風菌は神経毒素(テタノスパスミン)を産生し、破傷風の原因となります。選びやすい理由:一般的な知識なので正解と判断しやすい。
- 2. この組み合わせは正しいです。腸管出血性大腸菌はベロ毒素(志賀毒素様毒素)を産生し、溶血性尿毒症症候群などを引き起こします。選びやすい理由:EHECの病原性の中心であり、正しい組み合わせと認識しやすい。混同注意:他の大腸菌毒素(易熱性毒素、耐熱性毒素など)と混同する可能性はあるが、ベロ毒素はEHECの代表的な毒素である。
- 3. この組み合わせは正しいです。黄色ブドウ球菌はエンテロトキシン(腸管毒)を産生し、食中毒の原因となります。選びやすい理由:ブドウ球菌食中毒の原因物質として有名。混同注意:ブドウ球菌は他にもTSST-1や表皮剥奪毒素などを産生するが、エンテロトキシンも主要な毒素の一つである。
- 4. 正解。この組み合わせは誤りです。A群レンサ球菌が産生するのは、ストレプトコッカス毒素性ショック症候群毒素(Streptococcal toxic shock syndrome toxin: STSS毒素、またはストレプトコッカス発熱性外毒素)であり、毒素性ショック症候群毒素1(Toxic shock syndrome toxin-1: TSST-1)は黄色ブドウ球菌が産生する毒素です。正しくは:A群レンサ球菌が産生するのは、ストレプトコッカス毒素性ショック症候群毒素(STSS毒素)である。選びやすい理由:両者とも「毒素性ショック症候群毒素」という類似の名称を持ち、病態も似ているため、混同しやすい。特にTSST-1という略語だけ見ると、黄色ブドウ球菌とA群レンサ球菌どちらの産生か判断がつきにくい可能性がある。混同注意:黄色ブドウ球菌が産生するTSST-1と、A群レンサ球菌が産生するSTSS毒素(ストレプトコッカス発熱性外毒素)を混同しやすい。
- 5. この組み合わせは正しいです。腸炎ビブリオは耐熱性溶血毒( thermostable direct hemolysin: TDH)を産生し、食中毒の原因となります。選びやすい理由:腸炎ビブリオの主要な病原因子として知られている。
国試ポイント
細菌の種類と、それが産生する主要な毒素の正確な組み合わせを問う問題です。特に、名称が類似している毒素や、同様の疾患を引き起こす異なる細菌の毒素について、正確な知識が求められます。国試では、特定の細菌とその代表的な病原因子(毒素、酵素など)の組み合わせの正誤が頻繁に問われます。
混同注意
黄色ブドウ球菌のTSST-1と、A群レンサ球菌のSTSS毒素(SPEs)。これらはどちらも毒素性ショック症候群を引き起こすため、名称の類似性から混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各細菌の代表的な病原因子を正確に思い出し、特に名称が類似している毒素については、どの細菌が産生するのかを注意深く確認する。
関連知識
各細菌が産生する代表的な毒素の種類、その毒素が引き起こす病態、毒素の作用機序(例:神経毒、腸管毒、細胞障害毒、スーパー抗原など)。