前頸部横走査による甲状腺の超音波像(別冊No. 4)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
コメットエコーは、超音波が小さな高反射体(甲状腺のコロイド嚢胞ではコレステロール結晶など)に当たって多重反射を起こし、それが彗星の尾のように線状の高エコーとして描出されるアーチファクトです。甲状腺の嚢胞性病変内によく見られ、下図の矢印が指し示す線状の高エコーはこの特徴と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 音響陰影は、結石などの強い反射体によって超音波が透過せず、その背後に低エコー域が描出される現象を指します。本画像に見られる所見とは異なります。正しくは:音響陰影は、高エコー物質の深部に超音波が到達しないことで生じるエコーフリーの領域です。選びやすい理由:甲状腺の病変では石灰化などによる音響陰影が見られることもありますが、画像中の所見とは異なります。混同注意:後方エコー増強やコメットエコーと混同しやすいですが、それぞれ発生機序が異なります。
- 2. 外側陰影は、球状の嚢胞性病変の側面で超音波が回折することで生じるアーチファクトで、病変の両側に低エコー域として現れます。画像中の所見とは異なります。正しくは:外側陰影は、嚢胞性病変の側方に発生する低エコーの影です。選びやすい理由:嚢胞性病変と関連するため、甲状腺の嚢胞と結びつけて誤解する可能性があります。混同注意:音響陰影や後方エコー増強とは異なる機序で生じます。
- 3. 後方エコー増強は、超音波の減衰が少ない液体貯留病変(嚢胞など)の深部で、相対的にエコーレベルが高く描出される現象です。本画像に見られる所見は、嚢胞内にある点状高エコーからの多重反射を示しており、これとは異なります。正しくは:後方エコー増強は、超音波の透過性が良い領域の背後にエコーレベルが高く見える現象です。選びやすい理由:嚢胞性病変によく見られる所見であるため、甲状腺の嚢胞性病変を連想しやすいですが、画像中の所見は「後方エコー増強」そのものではありません。混同注意:コメットエコーや音響陰影と混同しやすいですが、これらは全く異なる現象です。
- 4. 正解。コメットエコー(彗星尾様エコー)は、超音波が強く反射する小さな点状構造(例えばコレステロール結晶や空気、金属など)から多重反射が生じ、その深部に彗星の尾のように線状に伸びる高エコーとして描出されるアーチファクトです。甲状腺ではコロイド嚢胞内のコレステロール結晶などに見られ、画像の矢印が示す特徴的な線状高エコーがこれに該当します。
- 5. ミラーイメージは、超音波が反射率の高い界面(例:横隔膜、胸膜)に当たって反射し、その反射波が再び体内に戻って、本来の構造とは異なる位置に反転した偽像を描出するアーチファクトです。画像中の所見とは発生機序も見た目も異なります。正しくは:ミラーイメージは、強い反射体の存在により、本来の構造がその反射体の奥に反転したかのように描出される偽像です。選びやすい理由:アーチファクトの一種ですが、画像の所見とは全く異なる現象です。混同注意:他のエコーパターンやアーチファクトと混同しやすいですが、その発生機序と描出される形態は独特です。
国試ポイント
超音波検査における主要なアーチファクトとその所見を正確に識別できるかが問われています。特にコメットエコーは甲状腺の嚢胞性病変でよく見られるため、診断的意義も含めて理解しておく必要があります。
混同注意
音響陰影、後方エコー増強、側方陰影など、他の超音波アーチファクトと混同しやすい。それぞれの発生機序と画像所見を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、主要な超音波アーチファクトの定義と、それぞれの代表的な画像所見を結びつけて理解しているかを問われる可能性が高いです。特に、特定の臓器(例:甲状腺、肝臓、胆嚢)でよく見られるアーチファクトとその臨床的意味合いについても確認が必要です。
関連知識
超音波アーチファクトの種類(音響陰影、後方エコー増強、コメットエコー、ミラーイメージ、外側陰影、多重反射など)とその発生原理、臨床的意義。甲状腺の良性・悪性病変の超音波所見。