針筋電図で神経原性変化の所見はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
神経原性疾患では、神経の変性・脱落により一部の筋線維が脱神経されます。残存する神経線維が、脱神経された筋線維を側芽形成によって再支配するため、一つの運動単位が支配する筋線維の数(運動単位のサイズ)が増大します。これにより、運動単位電位の振幅は増大し、持続時間も延長します。したがって、随意の軽い収縮時でも高振幅で長持続の電位がみられることは、神経原性変化の典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. Waning現象は重症筋無力症などの筋原性疾患でみられる筋電図の所見であり、神経原性変化ではありません。正しくは:これは筋原性変化(重症筋無力症など)でみられる。選びやすい理由:筋電図に関する用語なので、迷いやすい。混同注意:Waxing現象、神経原性変化の他の所見
- 2. Waxing現象はランバート・イートン症候群などでみられる筋電図の所見であり、神経原性変化ではありません。正しくは:これは筋原性変化(ランバート・イートン症候群など)でみられる。選びやすい理由:Waning現象と対で覚えることが多いため、筋電図の異常所見として認識しやすい。混同注意:Waning現象、神経原性変化の他の所見
- 3. 安静時の急降下爆撃音は筋強直性ジストロフィーなどの筋原性疾患で特徴的にみられる、筋線維の反復放電による所見です。正しくは:これは筋原性変化(筋強直性ジストロフィーなど)でみられる。選びやすい理由:特徴的な音を伴う異常所見であるため、印象に残りやすい。混同注意:神経原性疾患でみられる他の安静時異常電位(線維自発電位、陽性鋭波など)
- 4. 針電極刺入時活動の延長は筋原性疾患の初期にみられる所見です。神経原性疾患では、筋線維の変性により筋線維が減少するため、刺入時活動はむしろ減少または消失することが多いです。正しくは:針電極刺入時活動の延長は筋原性疾患でみられ、神経原性疾患では通常、刺入時活動は減少・消失する。選びやすい理由:刺入時活動の異常は筋電図の重要な所見であるため、一見正しいように思える。混同注意:筋原性変化における刺入時活動の延長、神経原性変化における刺入時活動の減少・消失
- 5. 正解。神経原性変化では、神経の障害により筋線維が脱神経され、その後残存する神経が新たな筋線維を支配する(側芽形成)ことで、一つの運動単位が支配する筋線維の数が増加します。これにより、随意の軽い収縮時でも個々の運動単位電位は高振幅で長持続となります。選びやすい理由:筋原性変化でも異常電位がみられるため、振幅や持続時間に関する記載で迷う可能性がある。混同注意:筋原性変化でみられる低振幅、短持続の電位
国試ポイント
針筋電図における神経原性疾患と筋原性疾患の鑑別が問われています。特に、運動単位電位の形態(振幅、持続時間)と、安静時・刺入時活動の異常所見を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
筋原性変化でみられる運動単位電位(低振幅、短持続、多相性増加)や、安静時活動(線維自発電位、陽性鋭波)と混同しやすいです。また、Waning/Waxing現象などの特殊な所見も鑑別のポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
針筋電図の所見に関する問題が出た場合、まず「神経原性か筋原性か」を判別し、その上で「安静時、刺入時、随意収縮時」のどの段階でみられる所見であるかを確認して判断します。特に、運動単位電位の「振幅」と「持続時間」の変化は両者を鑑別する上で核となる情報です。
関連知識
神経原性疾患と筋原性疾患における以下の針筋電図所見を関連付けて学習すると良いでしょう。\n・安静時活動:線維自発電位、陽性鋭波、束状収縮、筋強直性放電(急降下爆撃音)\n・刺入時活動:延長、短縮、消失\n・随意収縮時活動:運動単位電位の振幅・持続時間・多相性、干渉波形、リクルートメントパターン\nそれぞれの所見が神経または筋のどちらの障害で、どのようなメカニズムで生じるのかを理解することが重要です。