採血した全血検体をそのまま室温で一晩放置した。値の低下が予想されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
全血を室温で放置すると、血液中の有形成分(特に赤血球)や存在する微生物がグルコースを消費(解糖作用)するため、グルコース濃度は時間とともに低下します。このため、グルコース測定には速やかな血漿分離や解糖阻止剤の使用が必須とされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 全血を室温で放置すると、赤血球からのカリウム流出により血漿中または血清中のカリウム値は上昇します。正しくは:カリウム値は上昇する。選びやすい理由:細胞内外の電解質移動は複雑なため、カリウム値が変動することは予測しやすいが、方向を誤解しやすい。混同注意:溶血によるカリウム上昇と混同しやすいが、放置による細胞膜の機能低下もカリウム上昇の原因となる。
- 2. 全血を室温で放置すると、赤血球からの有機リン酸エステルの分解産物として無機リンが血漿中に流出し、その値は上昇します。正しくは:無機リン値は上昇する。選びやすい理由:細胞の代謝活動停止により、リン酸の消費が止まるため、かえって減少しそうだと誤解しがち。混同注意:ATP分解による無機リンの増加と、リン代謝全体のイメージとが混同されやすい。
- 3. 全血を室温で放置すると、赤血球や白血球、細菌による尿素やアミノ酸の分解が進み、アンモニア値は上昇します。正しくは:アンモニア値は上昇する。選びやすい理由:揮発性があるため、放置により減少すると誤解する可能性がある。混同注意:肝機能との関連から、生体内での代謝経路と、試験管内での変化を混同しやすい。
- 4. 正解。採血した全血を室温で放置すると、赤血球や白血球、微生物などによる解糖作用(グルコース消費)が進行するため、グルコース値は低下します。
- 5. クレアチニンは全血を室温で放置しても、その値は比較的安定しており、著しい変動は通常見られません。正しくは:クレアチニン値は比較的安定している。選びやすい理由:腎機能の指標であるため、他の不安定な項目と混同し、変動すると考えやすい。混同注意:他の腎機能関連項目(例:尿素窒素)や、温度や時間経過で不安定な代謝物と混同されやすい。
国試ポイント
検体管理(特に放置による検査値への影響)に関する基本的な知識が問われています。特に、全血放置によるグルコース低下は頻出事項です。各項目が細胞の代謝活動や酵素反応、細胞からの漏出などによりどのように変動するかを理解しているかが重要です。
混同注意
各成分が細胞内にあるか細胞外にあるか、また細胞の機能が停止した際にそれが安定化するか分解されるか、あるいは細胞から漏出するかといった動態を混同しやすいです。特にカリウムや無機リン、アンモニアは上昇するため、グルコースの低下とは逆の挙動を示す点が比較対象となります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず『放置された検体で活性を持つ酵素や細胞の代謝活動』、次いで『細胞膜の透過性の変化(細胞からの漏出)』、そして『測定対象物質自体の安定性』の3つの視点から各項目の変動を予測します。特に、解糖によるグルコース消費は基本中の基本です。
関連知識
・解糖阻止剤(フッ化ナトリウム)の役割とその作用機序。 ・溶血が検査値に与える影響(特にカリウム、LDHなど)。 ・検体処理の遅延が影響する他の検査項目(例:血液ガス、乳酸)。 ・血清と血漿の違い、凝固の進行が検査値に与える影響。