プロトロンビン時間〈PT〉及び活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉に異常を示さない血液凝固因子欠乏症はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
第ⅩⅢ因子はフィブリン塊の安定化に関与する因子であり、PTやAPTTが測定するフィブリン生成までの時間には影響しません。したがって、第ⅩⅢ因子の欠乏ではPTとAPTTは正常値を示します。しかし、止血栓の安定性が低下するため、遅延性の出血傾向が見られることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 第Ⅶ因子は外因系凝固経路に属しており、この因子の欠乏はPTを延長させます。APTTは通常正常です。正しくは:第Ⅶ因子欠乏症ではPTが延長します。選びやすい理由:凝固因子であるため、何らかの時間に影響すると考えがちですが、PTとAPTTのどちらに影響するかを正確に覚える必要があります。混同注意:内因系因子欠乏症と混同しやすいです。
- 2. 第Ⅷ因子は内因系凝固経路に属しており、この因子の欠乏はAPTTを延長させます。PTは通常正常です。正しくは:第Ⅷ因子欠乏症ではAPTTが延長します。選びやすい理由:血友病Aの原因因子であり、APTT延長としてよく知られています。混同注意:PTが延長する因子(外因系)と混同しやすいです。
- 3. 第Ⅹ因子は共通凝固経路に属しており、この因子の欠乏はPTとAPTTの両方を延長させます。正しくは:第Ⅹ因子欠乏症ではPTとAPTTの両方が延長します。選びやすい理由:PTとAPTTの両方に影響を与える重要な因子です。混同注意:他の単独の経路にのみ影響する因子と混同しやすいです。
- 4. 第Ⅻ因子は内因系凝固経路の開始因子の一つであり、この因子の欠乏はAPTTを著しく延長させますが、生体内での止血には通常影響しないため、臨床的な出血傾向は示しません。PTは正常です。正しくは:第Ⅻ因子欠乏症ではAPTTが延長します。選びやすい理由:出血傾向がないため、検査値も正常ではないかと誤解しやすいですが、APTTは延長します。混同注意:臨床症状の有無と検査値の異常が必ずしも一致しない点を混同しやすいです。
- 5. 正解。第ⅩⅢ因子(フィブリン安定化因子)は、フィブリンモノマーが重合してできたフィブリンポリマーを共有結合で架橋し、安定したフィブリン塊を形成する最終段階に関与します。PTとAPTTは凝固が開始されてフィブリンが生成されるまでの時間を測定する検査であり、第ⅩⅢ因子はそれより後の段階で機能するため、その欠乏はPTやAPTTの値に影響を与えません。選びやすい理由:他の因子と同様に凝固因子であるため、何らかの検査時間に影響を与えると誤解しやすいです。混同注意:PTやAPTTの測定原理と、各凝固因子の役割を正確に理解していないと間違えやすいです。
国試ポイント
血液凝固カスケードにおける各因子の役割と、PT、APTTがそれぞれどの経路の異常を反映するかを理解しているか、そして各検査の測定原理を問う問題です。特に、PT/APTTが正常でも出血傾向を示す因子(第ⅩⅢ因子、フォン・ヴィルブランド因子など)があることを問う点が重要です。
混同注意
第Ⅻ因子欠乏症はAPTT延長をきたしますが、出血傾向は通常ありません。この「出血傾向がない」という点で第ⅩⅢ因子と混同しやすいですが、検査値(APTT)は異なります。また、PTとAPTTの測定原理(フィブリンが生成されるまで)を理解していないと、第ⅩⅢ因子も時間延長に関与すると誤解しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各凝固因子の役割(特にPT/APTTが関わるかどうか)、PT/APTTが正常でも出血傾向を示す因子、あるいはPT/APTT異常が臨床症状と乖離する因子について注意して選択肢を検討する。
関連知識
PTは外因系および共通系、APTTは内因系および共通系の異常を反映します。各因子がどの経路に属し、どの検査時間に影響するかを正確に覚える必要があります。第Ⅰ因子(フィブリノゲン)や第Ⅱ因子(プロトロンビン)の異常はPTとAPTTの両方を延長させます。