地帯現象がみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
ゾーン現象(地帯現象)は、抗原と抗体の濃度比が最適でない場合に、抗原抗体複合体(凝集塊)の形成が抑制され、見かけ上、反応が弱く測定されてしまう現象を指します。特に液相中で抗原抗体複合体の凝集塊の形成度合いを測定する比濁法や凝集法で問題となります。選択肢のうち、免疫比濁法とラテックス凝集比濁法は、ともに液相中で抗原抗体の凝集反応を測定原理とするため、ゾーン現象が起こり得ます。
選択肢ごとの解説
- 1. 蛍光抗体法は抗原抗体反応を利用するが、通常、ゾーン現象は問題とならない。細胞や組織切片上の抗原を検出するため、液相反応とは機序が異なる。正しくは:蛍光抗体法はゾーン現象とは直接関係がない。選びやすい理由:免疫学的検査であるため、ゾーン現象の概念と関連付けてしまう可能性がある。混同注意:他の免疫学的検査と混同して、広義に抗原抗体反応の阻害として捉えてしまう。
- 2. 正解。免疫比濁法は、液相中で抗原抗体複合体を形成させ、その濁度(散乱光)を測定する。抗原または抗体のいずれかが過剰な場合、最適な凝集塊が形成されず、濁度が低く測定されるゾーン現象(プロゾーン・ポストゾーン現象)が起こりやすい。
- 3. EIA/ELISAは、固相に抗原または抗体を固定し、酵素反応による発色を測定する方法である。液相での凝集反応とは異なり、通常はゾーン現象は問題とならない。過剰な抗原や抗体が存在しても、固相に結合できる量に限界があるため、測定値が偽低値になることはあるが、ゾーン現象とは区別される。正しくは:酵素免疫測定法は固相反応であり、ゾーン現象は通常みられない。選びやすい理由:これも免疫学的検査であるため、ゾーン現象の概念と結びつけやすい。混同注意:固相反応と液相反応の区別が曖昧な場合、ゾーン現象が起こり得ると誤解する。
- 4. CLIAは、EIA/ELISAと同様に固相に抗原または抗体を固定し、化学発光物質を標識として用いる方法である。液相での凝集反応とは異なり、通常はゾーン現象は問題とならない。正しくは:化学発光免疫測定法は固相反応であり、ゾーン現象は通常みられない。選びやすい理由:EIA/ELISAと同様に、免疫学的検査であることから関連付けてしまう可能性がある。混同注意:固相反応の原理を理解していなければ、ゾーン現象が起こり得ると誤解する。
- 5. 正解。ラテックス凝集比濁法は、ラテックス粒子に結合させた抗原または抗体と、検体中の対応する抗体または抗原を反応させ、凝集による濁度変化を測定する方法である。免疫比濁法と同様に液相での凝集反応を原理とするため、抗原または抗体が過剰な場合にゾーン現象が観察されやすい。
国試ポイント
免疫学的検査法の原理と、各検査法で注意すべき現象(特にゾーン現象)を理解しているかが問われています。液相反応と固相反応の区別、凝集反応の原理を把握することが重要です。
混同注意
ゾーン現象と、単なる測定範囲外の過剰な検体による高値/低値の解釈、またはフック効果(Hook effect)との混同。フック効果は、特にサンドイッチELISAなどで抗原が高濃度すぎるとシグナルが低下する現象を指し、ゾーン現象と類似した結果をもたらすことがあるが、厳密には機序が異なる場合がある。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、まずその検査法が『液相での凝集反応を測定しているか』を確認します。次に、抗原や抗体の濃度比が結果に影響を与える可能性があるか、という視点で考えます。
関連知識
プロゾーン現象(抗体過剰)、ポストゾーン現象(抗原過剰)、抗原抗体複合体の沈降曲線の概念、固相法と液相法の違い、各種免疫学的検査法の測定原理(凝集、沈降、結合、酵素標識、蛍光標識など)。