内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
内部精度管理法には、管理用試料(コントロール血清など)を用いる方法と、日常的に測定される患者検体データを用いる方法があります。本問では患者データを用いる方法を問われています。項目間チェック法は同一患者の複数の検査項目間の関係性(例: 電解質バランス、肝酵素の比率など)を評価し、異常値を検出する方法です。デルタチェック法は、同一患者の過去と現在の検査結果を比較し、大きく変動している場合に異常を知らせる方法です。これら2つは患者データそのものを活用します。一方、累積和法、X-R管理図法、マルチルール管理図法は、一般的に管理用試料の測定値を用いて、測定系の変動を監視する手法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 累積和法は、管理用試料(コントロール血清など)の測定値の変動を統計的に評価し、測定系の精度の異常を早期に検出する管理図法の一つです。患者データは直接使用しません。正しくは:累積和法は管理用試料の測定値を用いて精度管理を行います。選びやすい理由:管理図法の一種であるため、精度管理法であることは認識しやすいですが、患者データを用いるか否かの区別が曖昧だと誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:他の管理図法(X-R管理図など)と同様に、管理用試料を用いる方法である点で混同しやすいです。
- 2. X-R管理図法は、管理用試料(コントロール血清など)の測定値の平均値と範囲(または標準偏差)をグラフ化し、測定系の精度の変動を監視する代表的な管理図法です。患者データは直接使用しません。正しくは:X-R管理図法は管理用試料の測定値を用いて精度管理を行います。選びやすい理由:最も基本的な精度管理図法であるため、精度管理の文脈では常に選択肢として考えられますが、患者データを用いるか否かの要件を見落とすと選択してしまう可能性があります。混同注意:累積和法やマルチルール管理図法と同様に、管理用試料を使用する点で混同しやすいです。
- 3. 正解。項目間チェック法は、同一患者の複数の検査項目データ(例:NaとCl、ASTとALTなど)の間の相関関係や比率を利用して、測定値の異常や検体取り違えなどを検出する方法です。患者データそのものを分析対象とします。
- 4. 正解。デルタチェック法は、同一患者の過去の検査結果と今回の検査結果を比較し、その差(デルタ値)が許容範囲を超えていないかをチェックする方法です。患者個人の時系列データを利用するため、患者データを用いる精度管理法です。
- 5. マルチルール管理図法(ウェストガードルールなど)は、複数の統計的ルールを組み合わせて、管理用試料(コントロール血清など)の測定値の異常をより高感度かつ特異的に検出する管理図法です。これも管理用試料を用いており、患者データは直接使用しません。正しくは:マルチルール管理図法は管理用試料の測定値を用いて精度管理を行います。選びやすい理由:高度な管理図法であるため、重要な精度管理法であると認識しやすいですが、使用するデータ源(管理用試料か患者データか)の区別が曖昧だと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:他の管理図法(X-R管理図など)と同様に、管理用試料を使用する点で混同しやすいです。
国試ポイント
臨床検査の精度管理における、管理用試料を使用する管理図法と、患者データを使用する手法の区別が問われる。特に、患者データを利用する「項目間チェック法」と「デルタチェック法」は頻出である。
混同注意
精度管理全般の知識はあるものの、具体的にどの方法がどの種類のデータ(管理用試料 vs. 患者データ)を用いるのかが混同されやすい。特に、名称だけでは判断しにくいものもあるため、各方法の具体的な内容を理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各精度管理法の目的と、それがどのような種類のデータ(管理用試料、患者の複数項目、患者の時系列など)を利用して精度を評価しているかを区別できるかを確認する。
関連知識
外部精度管理、管理図の種類(L-J管理図、CUSUM管理図など)、ウェストガードルール(マルチルール)、管理用試料の特性(均一性、安定性など)。