放射線の影響を最も受けにくいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
放射線感受性は、細胞の増殖能力や未分化度が高いほど高くなります。成熟した赤血球は核を持たず、細胞分裂を行わないため、放射線によるDNA損傷や細胞分裂阻害の影響をほとんど受けません。そのため、他の血液細胞(特にリンパ球や骨髄系の前駆細胞)と比較して、放射線の影響を最も受けにくい細胞と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 単球はリンパ球ほどではないものの、白血球の一種であり、その前駆細胞は活発に分裂するため放射線感受性が比較的高く、影響を受けやすいです。正しくは:成熟赤血球は核を持たず、細胞分裂も行わないため、放射線による影響をほとんど受けません。選びやすい理由:リンパ球が最も感受性が高いと知っていても、他の白血球の感受性の程度を正確に把握していない場合に、赤血球よりも感受性が低いと誤解する可能性があります。混同注意:他の種類の白血球、特にリンパ球の非常に高い放射線感受性と混同し、単球の感受性を過小評価する場合があります。
- 2. 好酸球も白血球の一種で、骨髄での産生過程において放射線の影響を受けます。成熟細胞もある程度の感受性を示します。正しくは:放射線感受性が低いのは、核がなく分裂しない成熟赤血球です。選びやすい理由:白血球全体の感受性の高さを認識しつつも、赤血球の特殊な性質(無核、非分裂)を考慮せずに、他の白血球よりは感受性が低いと誤解するかもしれません。混同注意:他の顆粒球(好中球、好塩基球)と放射線感受性に関して同じレベルにあると見なしがちですが、赤血球とは大きく異なります。
- 3. 好中球も白血球の一種であり、骨髄で活発に分裂・分化する前駆細胞は放射線感受性が高く、細胞減少の原因となります。成熟好中球も影響を受けます。正しくは:核を持たず、細胞分裂を行わない成熟赤血球が放射線の影響を最も受けにくい細胞です。選びやすい理由:すべての白血球が放射線に弱いという共通認識がある場合でも、赤血球が持つ「核がない」という決定的な違いを見落とし、相対的に好中球も弱い部類に入ると考える可能性があります。混同注意:放射線感受性が極めて高いリンパ球と混同したり、未熟な造血細胞の感受性と成熟細胞の感受性の違いを区別できなかったりすること。
- 4. 正解。成熟した赤血球は細胞核を持たず、細胞分裂も行いません。そのため、放射線によるDNA損傷や細胞分裂阻害といった影響をほとんど受けず、血液細胞の中で最も放射線感受性が低い細胞として知られています。
- 5. リンパ球は、白血球の中でも特に放射線感受性が高い細胞です。少量(低線量)の放射線でもアポトーシス(細胞死)を起こしやすい特性があります。正しくは:放射線の影響を最も受けにくいのは、核を持たず分裂しない成熟赤血球です。選びやすい理由:リンパ球が最も放射線感受性が高いという知識は正しいですが、問題文は「最も受けにくい(低い)」ものを求めているため、この知識に引きずられて誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:「最も影響を受けやすい細胞」と「最も影響を受けにくい細胞」を混同すること。リンパ球が前者に該当し、赤血球が後者に該当します。
国試ポイント
放射線感受性の高さは細胞の分化度と増殖能力に密接に関連しており、特に血液細胞においてその違いを理解しているかが問われます。リンパ球の感受性の高さと、成熟赤血球の感受性の低さを明確に区別できることが重要です。
混同注意
放射線感受性が最も高い細胞(リンパ球)と、最も低い細胞(成熟赤血球)を混同しやすい点が挙げられます。また、成熟赤血球は感受性が低いですが、骨髄にある赤芽球系細胞は活発に分裂しているため放射線感受性が高いことも理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、選択肢の細胞が「細胞分裂能力を持つか」、「分化の程度はどうか(未分化細胞か、成熟細胞か)」という点に着目して判断します。特に、リンパ球が最も感受性が高く、成熟赤血球が最も低いという基準を念頭に置くと良いでしょう。
関連知識
ベルゴニエ・トリボーの法則は、細胞の放射線感受性が、増殖能力が高いほど、また未分化であるほど高いことを示しています。これに基づいて、造血幹細胞、腸陰窩細胞、生殖細胞(精原細胞、卵母細胞)、リンパ球などは放射線感受性の高い細胞として知られています。一方、筋肉細胞、神経細胞、成熟赤血球などは感受性が低い細胞です。