食細胞機能が障害されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
慢性肉芽腫症(CGD)は、食細胞が病原体を殺菌する際に重要なNADPHオキシダーゼ複合体の遺伝的欠損により、活性酸素種(スーパーオキシドなど)を産生できないため、食細胞の殺菌能力が著しく障害される疾患である。特にカタラーゼ陽性菌に対する抵抗力が低下し、重篤な感染症を繰り返す。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。慢性肉芽腫症は、NADPHオキシダーゼ複合体の遺伝的欠損により、食細胞が活性酸素種を産生できなくなる疾患です。このため、病原体を殺菌する能力が著しく低下し、特にカタラーゼ陽性菌に対する抵抗力が失われます。
- 2. DiGeorge症候群は、胸腺の発育不全によってT細胞の成熟が障害される疾患であり、細胞性免疫不全が主症状です。食細胞機能そのものが直接的に障害されるわけではありません。正しくは:DiGeorge症候群では、主にT細胞を介した細胞性免疫が障害されます。選びやすい理由:免疫不全疾患の一つであるため、広く免疫機能障害として捉えてしまうと選んでしまう可能性があります。混同注意:食細胞機能不全ではなく、T細胞機能不全(細胞性免疫不全)。
- 3. 重症複合免疫不全症(SCID)は、T細胞とB細胞の両方の機能が著しく障害される疾患です。食細胞機能の直接的な欠陥ではありませんが、リンパ球系の欠損により全身の免疫応答が極めて低下します。正しくは:SCIDでは、主にT細胞とB細胞の両方が機能不全に陥り、液性免疫と細胞性免疫の両方が障害されます。選びやすい理由:「重症」という言葉から、全身の免疫系に広範な障害があると考え、食細胞機能も含まれると誤解する可能性があります。混同注意:食細胞機能不全ではなく、リンパ球(T細胞、B細胞)機能不全。
- 4. 無γ-グロブリン血症は、B細胞の分化異常により抗体(γ-グロブリン)の産生がほとんど行われない疾患です。食細胞自身の機能は正常ですが、オプソニンである抗体が欠乏するため、間接的に食細胞による病原体認識・貪食効率が低下することはあります。しかし、食細胞機能そのものの原発性障害ではありません。正しくは:無γ-グロブリン血症では、主にB細胞の欠損による抗体産生不全が起こります。選びやすい理由:オプソニンである抗体が欠乏することで、食細胞による貪食効率が低下するという間接的な関連があるため、食細胞機能障害と混同しやすいです。混同注意:食細胞機能そのものの原発性障害ではなく、抗体産生不全。
- 5. Wiskott-Aldrich症候群は、WASP遺伝子の異常による疾患で、主に血小板減少、湿疹、免疫不全(T細胞機能、B細胞機能、抗体産生の一部)を特徴とします。食細胞機能が直接的に障害される疾患ではありません。正しくは:Wiskott-Aldrich症候群では、主に血小板機能とリンパ球機能が障害されます。選びやすい理由:免疫不全の一つであり、広範な免疫機能障害があると誤解する可能性があります。混同注意:食細胞機能不全ではなく、血小板機能やリンパ球機能の障害。
国試ポイント
各原発性免疫不全症の主な病態生理、特にどの免疫細胞(食細胞、T細胞、B細胞など)のどの機能(殺菌、細胞性免疫、液性免疫など)が障害されるのかを正確に理解しているかが問われる。疾患名と、その疾患がどの免疫機能の障害と結びつくかを正確に覚えている必要がある。
混同注意
他の原発性免疫不全症、特にリンパ球機能不全(DiGeorge症候群、SCID、無γ-グロブリン血症、Wiskott-Aldrich症候群)と食細胞機能不全(慢性肉芽腫症)の区別。免疫不全症全体を一括りにしてしまうと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、食細胞機能の障害が問われたら、主に慢性肉芽腫症を思い浮かべることが重要である。また、選択肢に挙げられた他の疾患がそれぞれどの免疫細胞や機能に異常があるかを再確認する。例えば、T細胞不全(DiGeorge)、B細胞不全(無γ-グロブリン血症)、複合不全(SCID, Wiskott-Aldrich)といった分類を意識すると良い。
関連知識
NADPHオキシダーゼ複合体の構成要素(gp91phox, p22phox, p47phox, p67phox, p40phoxなど)とその遺伝子異常。食細胞の殺菌機構(酸素依存性殺菌、酸素非依存性殺菌)。原発性免疫不全症の分類(例:細胞性免疫不全、液性免疫不全、食細胞機能不全、補体欠損など)。各免疫不全症の臨床症状と診断検査。