生体信号をデジタル記録する場合、最も高いサンプリング周波数が必要となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
生体信号をデジタル化する際には、その信号が持つ最も高い周波数成分を正確に捉えるために、ナイキストのサンプリング定理に基づき、その最高周波数成分の2倍以上のサンプリング周波数が必要です。選択肢の中で、筋電図(EMG)は筋肉の活動電位を捉えるため、非常に速い立ち上がりや減衰を伴う高周波成分(数KHz~10KHz以上)を含んでいます。したがって、筋電図の波形を正確に再現するためには、他の信号と比較して最も高いサンプリング周波数(数KHz~数十KHz)が求められます。他の信号(脳波、脈波、心音図、心電図)は、筋電図に比べて主要な周波数帯域が低いため、必要なサンプリング周波数も相対的に低くなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 脳波の主な周波数帯は比較的低く、一般的に高精度の記録でも数百Hz程度のサンプリング周波数で対応可能です。筋電図と比較すると低いサンプリング周波数で十分です。正しくは:脳波のサンプリング周波数は通常200Hz~500Hz程度ですが、高周波成分を詳細に分析する場合はより高くなります。しかし、筋電図の数十KHzには及びません。選びやすい理由:脳活動は複雑であるため、高いサンプリング周波数が必要だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:脳波の記録には高感度が必要ですが、それがそのまま高いサンプリング周波数に直結するわけではありません。
- 2. 脈波は心拍動に伴う血管の拡張・収縮を反映する信号であり、周波数成分は非常に低く、数Hzから数十Hz程度で十分なサンプリング周波数です。正しくは:脈波のサンプリング周波数は、脈拍変動を捉える目的であれば数十Hz程度で十分です。選びやすい理由:生体信号の一種であるため、他の信号と混同しがちですが、その物理現象から周波数帯域は限定的です。混同注意:脈波は比較的ゆっくりとした変化を示す信号であるため、高いサンプリング周波数の必要性は低いです。
- 3. 正解。筋電図は、筋肉が収縮する際に発生する電気信号を記録します。この信号は非常に高周波成分を含んでおり、通常は数KHzから最大で10KHz以上といった高い周波数帯域を持つため、波形を正確に再現するには非常に高いサンプリング周波数(数KHz~数十KHz)が必要です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため特になし)混同注意:(正答のため特になし)
- 4. 心音図は心臓の拍動によって生じる音を記録するもので、その周波数帯域は聴覚範囲内に収まる数百Hzから数KHz程度です。筋電図ほど高いサンプリング周波数は必要としません。正しくは:心音図のサンプリング周波数は、通常数KHzから高くても10KHz程度で十分です。これは筋電図が必要とする周波数に比べると低いです。選びやすい理由:音であるため、高周波が必要だと考えるかもしれませんが、心音の主要な周波数帯は限定されています。混同注意:心音は「音」であるため、ヒトの可聴域(20Hz~20KHz)を基準に考えると誤解しやすいですが、心音の臨床的意義がある周波数帯は狭いです。
- 5. 心電図は心臓の電気活動を記録するもので、その主要な周波数帯域は0.05Hzから100Hz程度であり、通常数百Hz程度のサンプリング周波数で十分正確に記録できます。これは筋電図が必要とする周波数よりはるかに低いです。正しくは:心電図のサンプリング周波数は、通常500Hz~1000Hz程度で十分です。高分解能が必要な場合でも数KHz程度で、筋電図のそれには及びません。選びやすい理由:心臓の重要な信号であるため、高い精度が必要だと考えがちですが、その周波数成分は比較的低いです。混同注意:心電図は医学的に非常に重要な情報を提供しますが、その信号の周波数特性は筋電図とは異なります。
国試ポイント
生体信号の物理的特性と、それを正確にデジタル化するために必要なサンプリング周波数の関係を理解しているかを問う問題です。各生体信号の代表的な周波数帯域を把握していることが重要となります。
混同注意
各生体信号の臨床的な重要度や、記録の難易度と、信号自体の周波数帯域とを混同しやすいです。重要度が高いからといって、必ずしも高周波成分が多いとは限りません。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各生体信号がどのような物理現象を反映しており、その信号にどの程度の周波数成分が含まれているかを具体的に想起できるかを確認します。
関連知識
ナイキストのサンプリング定理、アンチエイリアシングフィルタ、各生体信号(ECG, EEG, EMG, PPGなど)の生理学的起源とその周波数特性。