造血幹細胞移植ドナーの選択で最も重要なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
造血幹細胞移植では、ドナーとレシピエントの免疫学的な適合性が極めて重要です。HLA(Human Leukocyte Antigen)は、主要組織適合遺伝子複合体の一部であり、免疫応答において自己と非自己を識別する役割を担っています。HLA型の一致度が低いと、レシピエントの免疫系がドナーの細胞を異物と認識して拒絶反応を起こしたり、逆にドナーの免疫細胞がレシピエントの身体を攻撃するGVHD(移植片対宿主病)が発生するリスクが高まります。これらの合併症は移植の失敗や患者の生命に関わるため、HLA型の一致がドナー選択において最も重視されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 性別はドナー選択の際に考慮される因子の一つですが、最も重要ではありません。特に妊娠・出産経験のある女性ドナーから男性レシピエントへの移植では、拒絶反応のリスクを高める可能性がありますが、HLA型の一致ほど決定的な要因ではありません。正しくは:HLA型の一致が最優先されます。選びやすい理由:性別ミスマッチによるGVHDや拒絶反応への影響が知られているため、重要だと考えるかもしれませんが、HLA型の一致がより根本的かつ優先されます。混同注意:性別ミスマッチとHLA型のミスマッチによる拒絶反応の重要度を混同しやすいです。
- 2. ドナーの体重は、採取できる幹細胞の量やドナーへの負担を考慮する上で重要ですが、レシピエントとの免疫学的な適合性を決定する最も重要な因子ではありません。正しくは:HLA型の一致が最優先されます。選びやすい理由:骨髄採取やG-CSF製剤投与時のドナーへの安全性や、レシピエントへの細胞数確保の観点から、体重が関連すると考えるかもしれませんが、免疫学的適合性とは異なります。混同注意:ドナーの身体的適合性と免疫学的適合性を混同しやすいです。
- 3. ドナーの年齢は、移植後の生着率や合併症のリスクに影響を与えるため考慮される因子ですが、最も重要なのは免疫学的適合性です。若いドナーの方が一般的に予後が良いとされていますが、HLA型の一致が前提となります。正しくは:HLA型の一致が最優先されます。選びやすい理由:ドナーの年齢が若いほど、採取される細胞の質や増殖能が高く、移植後のGVHD発症率が低い傾向にあるため、重要だと考えるかもしれませんが、HLA型の一致が最も根本的です。混同注意:ドナーの身体的・細胞的要因と免疫学的要因の重要度を混同しやすいです。
- 4. 正解。造血幹細胞移植において、レシピエントとドナーのHLA(Human Leukocyte Antigen)型が一致していることは、拒絶反応やGVHD(移植片対宿主病)を最小限に抑え、移植の成功率を高める上で最も重要な要因です。特に主要なHLA遺伝子座(A, B, C, DRB1など)の一致が求められます。
- 5. ABO血液型の一致は、赤血球系の適合に影響し、移植初期の溶血反応のリスクに関わりますが、移植片の拒絶反応やGVHDといった主要な合併症を決定する最も重要な因子ではありません。不一致の場合でも移植は可能であり、対応策が取られます。正しくは:HLA型の一致が最優先されます。選びやすい理由:輸血との関連から、血液型の一致が重要だと考えるかもしれませんが、造血幹細胞移植では免疫細胞の適合性(HLA型)がより重要です。混同注意:ABO血液型とHLA型の役割を混同しやすいです。ABO血液型は赤血球系の適合に重要ですが、HLA型は免疫系の適合に重要です。
国試ポイント
造血幹細胞移植におけるドナー選択の最重要因子はHLA型の一致であることを理解しているか問う問題です。他の因子も重要ではありますが、その中で何が最も優先されるかを区別できるかがポイントとなります。
混同注意
ABO血液型とHLA型が混同されやすいですが、それぞれの役割が異なります。ABO血液型は赤血球の適合に主に影響し、HLA型は免疫細胞の適合に主要な役割を果たします。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、造血幹細胞移植の成功に最も直結する免疫学的な適合性に着目し、特にHLA型の役割とその重要性を深く理解しているかを問う設問が考えられます。
関連知識
HLA型は主にA、B、C(クラスI)およびDR、DQ、DP(クラスII)遺伝子座によって構成され、これらの遺伝子座が両親から受け継がれます。移植においては、可能な限り多くの遺伝子座での一致を目指します。特に親子間や兄弟間ではHLAが一致する可能性が高いため、血縁ドナーが優先されますが、非血縁ドナーの場合は骨髄バンクなどを介してHLA型が高度に一致するドナーが探索されます。性別ミスマッチやABO血液型不適合は、特定の条件下で合併症のリスクを高めることがありますが、HLA型の一致が最も基本的な要件です。