喀痰のPapanicolaou染色標本(別冊No. 9)を別に示す。出現している細胞はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
提示された画像は、小細胞肺癌に典型的な細胞形態を示しています。これらの細胞は、リンパ球に似た小型の細胞で、細胞質が非常に乏しく、密な集塊を形成します。核は不整形で、クロマチンは顆粒状または「塩とコショウ」状に均一に分布し、核小体は通常不明瞭です。また、核の圧潰やモルディング(核が互いに押し合うことで変形する現象)が特徴的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 画像に見られる細胞は、細胞質が乏しく、核が小型で不整形であり、クロマチンが粗く均一に分布し、核小体が不明瞭である。これは小細胞癌細胞の特徴であり、塵肺細胞(塵埃細胞)は通常、マクロファージが塵を貪食したものであり、核の形態やクロマチンパターンが異なる。正しくは:この細胞は小細胞癌細胞である。選びやすい理由:喀痰検査で塵埃細胞が検出されることはあるため、その可能性を考えてしまうかもしれない。混同注意:マクロファージや他の良性炎症細胞と混同する可能性がある。
- 2. 画像に見られる細胞は、細胞質が乏しく、核が小型で不整形であり、クロマチンが粗く均一に分布し、核小体が不明瞭である。腺癌細胞は、通常、豊富な細胞質、核小体の明瞭化、腺管形成傾向などを示すことが多く、本画像の特徴とは異なる。正しくは:この細胞は小細胞癌細胞である。選びやすい理由:肺癌の一種であるため、他の癌腫と混同しやすい。混同注意:腺癌細胞はしばしば大型の細胞で、核小体が明瞭であるため、その特徴と混同する。
- 3. 正解。提示された画像は、小型で円形から紡錘形、細胞質が非常に乏しい細胞の集塊を示しています。核は不整形でクロマチンが粗く均一に分布し、「塩とコショウ」のようなパターンを呈することがあります。核小体は不明瞭です。これらの特徴は、小細胞肺癌細胞に典型的な所見です。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:小細胞癌は特徴的な形態を持つため、適切に診断できれば選びやすい。混同注意:他の小型癌細胞やリンパ腫細胞と混同することがあるが、クロマチンパターンや細胞配置に違いがある。
- 4. 画像に見られる細胞は、細胞質が乏しく、核が小型で不整形であり、クロマチンが粗く均一に分布し、核小体が不明瞭である。良性の気管支上皮細胞は通常、円柱状または立方体状の形態を示し、核は円形から卵円形でクロマチンは均一で核小体は明瞭である。本画像の特徴とは明らかに異なる。正しくは:この細胞は小細胞癌細胞である。選びやすい理由:喀痰検査で気管支上皮細胞が検出されるのは正常な所見であるため、正常細胞を想定してしまう可能性がある。混同注意:良性細胞の特徴と悪性細胞の特徴を区別できない場合に混同しやすい。
- 5. 画像に見られる細胞は、細胞質が乏しく、核が小型で不整形であり、クロマチンが粗く均一に分布し、核小体が不明瞭である。扁平上皮癌細胞は、細胞質が豊富で、角化傾向や細胞間橋の形成、核の不整形、明瞭な核小体を示すことが多いが、本画像の特徴とは異なる。正しくは:この細胞は小細胞癌細胞である。選びやすい理由:肺癌で最も頻度が高い組織型の一つであるため、混同しやすい。混同注意:扁平上皮癌は比較的細胞質が豊富なことが多いが、小細胞癌は細胞質が乏しいという形態学的違いを理解していないと混同する。
国試ポイント
喀痰細胞診における各肺癌組織型(特に小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌)の基本的な形態学的特徴を識別できるかどうかが問われています。特に小細胞癌の「細胞質の乏しさ」「核のモルディング」「クロマチンのパターン」が重要です。
混同注意
小細胞癌細胞は、リンパ球、小型の腺癌細胞、または他の神経内分泌腫瘍細胞と混同されることがあります。鑑別には、クロマチンの性状、細胞の凝集性、核のモルディングの有無が重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の肺癌(腺癌、扁平上皮癌)や良性細胞(マクロファージ、気管支上皮細胞)の典型的な細胞像も正確に識別できるかを確認する必要があります。
関連知識
小細胞肺癌は、悪性度が高く進行が速い一方で、化学療法や放射線療法への感受性が比較的良好な癌腫です。喀痰細胞診は、その診断に重要な役割を果たします。免疫組織化学染色(例:TTF-1, synaptophysin, chromogranin A)も確定診断に用いられます。