バゾプレシンが低下するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
中枢性尿崩症は、視床下部や下垂体後葉の機能障害により、抗利尿ホルモン(バゾプレシン)の分泌が不十分となることで多尿・多飲を呈する疾患です。このため、バゾプレシンの血中濃度は低下します。
選択肢ごとの解説
- 1. 脱水症では体液の浸透圧が上昇するため、それを是正するためにバゾプレシンの分泌は増加します。正しくは:脱水症ではバゾプレシン分泌は増加する。選びやすい理由:脱水で尿量が増えるイメージから、バゾプレシンが低下すると誤解するかもしれませんが、それは重度な状態か他の機序によるものです。軽度から中等度の脱水では尿を濃縮し体液保持を促すため、バゾプレシンは上昇します。混同注意:尿崩症の病態と混同しやすい。脱水はバゾプレシン分泌刺激因子である。
- 2. 肝硬変症では、有効循環血漿量の減少や低アルブミン血症による血管内ボリュームの低下から、バゾプレシンの分泌は増加する傾向にあります。また、肝臓でのバゾプレシン代謝が低下することも、血中濃度の上昇につながることがあります。正しくは:肝硬変症ではバゾプレシン分泌は増加する傾向にある。選びやすい理由:肝臓の機能低下が全身に影響を及ぼすため、ホルモン分泌も低下すると考えるかもしれませんが、むしろ代償的に増加することが多いです。混同注意:肝臓が関連する他のホルモン代謝異常と混同しやすい。
- 3. 腎性尿崩症は、バゾプレシンは十分に分泌されているにもかかわらず、腎臓がその作用を受け入れられない(感受性がない)ために多尿となる病態です。したがって、バゾプレシン分泌自体は低下しません(むしろ代償性に増加することがあります)。正しくは:腎性尿崩症ではバゾプレシン分泌は低下せず、むしろ増加することがある。選びやすい理由:尿崩症という名称からバゾプレシンが低下していると誤解しやすいですが、これは腎臓側の問題です。混同注意:中枢性尿崩症と病態が混同されやすい。中枢性は分泌低下、腎性は受容体異常。
- 4. 正解。中枢性尿崩症は、視床下部や下垂体後葉の障害により、バゾプレシン(抗利尿ホルモン)の合成や分泌が不足するために発症する病態です。したがって、バゾプレシンの分泌量は低下します。
- 5. SIADHは、バゾプレシンが過剰に分泌されることによって、低ナトリウム血症や高浸透圧尿を来す病態です。したがって、バゾプレシンの分泌は増加しています。正しくは:SIADHではバゾプレシン分泌は過剰に増加する。選びやすい理由:名称に「不適合」とあるため、分泌がうまくいかず低下するケースもあるかと誤解するかもしれませんが、これは「不適切に過剰に分泌される」という意味です。混同注意:バゾプレシンの分泌異常という点で尿崩症と対比されるが、分泌の過多と過少で逆の病態である。
国試ポイント
バゾプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌異常に関連する疾患の病態理解が問われています。特に、中枢性尿崩症と腎性尿崩症の違い、およびSIADHとの分泌量の関係を正確に把握しているかが重要です。
混同注意
中枢性尿崩症と腎性尿崩症は、どちらも多尿・多飲を主症状としますが、病態(バゾプレシン分泌の有無、腎臓の反応性)が全く異なるため混同しやすいです。また、SIADHはバゾプレシン分泌が過剰となるため、尿崩症とは逆の病態である点を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この問題で正答できなかった場合、まずバゾプレシンの生理作用と分泌調節メカニズムを復習し、その後、中枢性尿崩症、腎性尿崩症、SIADHの各病態におけるバゾプレシン分泌と腎臓の反応性の違いを比較して整理するとよいでしょう。
関連知識
バゾプレシンの作用機序(集合管での水再吸収促進)、分泌刺激因子(血漿浸透圧上昇、循環血漿量減少)、分泌抑制因子(血漿浸透圧低下、循環血漿量増加、アルコール)。これらの知識があれば、各選択肢の病態をより深く理解できます。