治療薬物モニタリング〈TDM〉が必要なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
バンコマイシンは、腎毒性や耳毒性などの重篤な副作用のリスクがあり、かつ薬物動態に個体差が大きい(特に腎機能の影響を受けやすい)ため、適切な血中濃度を維持して治療効果を最大化し、副作用を最小限に抑える目的でTDMが非常に重要です。特にAUC/MICやトラフ値のモニタリングが推奨されます。
選択肢ごとの解説
- 1. アンピシリンはβ-ラクタム系抗生物質であり、比較的治療域が広く、毒性が低いため、通常はTDMは実施されません。正しくは:アンピシリンのようなβ-ラクタム系抗生物質は、有効性と安全性のバランスが良いため、TDMは必須ではありません。選びやすい理由:抗生物質全般に対してTDMが必要と誤解している場合に選択肢となるかもしれません。混同注意:ゲンタマイシンなど、TDMが必要な他の抗生物質と混同する可能性があります。
- 2. エリスロマイシンはマクロライド系抗生物質であり、一般的に治療域が比較的広く、TDMは通常行われません。正しくは:エリスロマイシンは、その薬物動態特性からTDMがルーチンで実施されることは稀です。選びやすい理由:薬物相互作用が多い薬剤であるため、TDMが必要だと誤解する可能性があります。混同注意:シクロスポリンなど、薬物相互作用が多くTDMが推奨される薬剤と混同する可能性があります。
- 3. セファゾリンはセフェム系抗生物質であり、β-ラクタム系と同様に治療域が広く、TDMの必要性は低いとされています。正しくは:セファゾリンの血中濃度は、患者の腎機能に応じて調整されますが、TDMが必須ではありません。選びやすい理由:幅広い感染症に用いられるため、効果の確認のためにTDMが必要と考えるかもしれません。混同注意:腎機能低下患者で投与量調整が必要な点からTDMが必要と誤解する可能性がありますが、TDMは必須ではありません。
- 4. 正解。バンコマイシンはグリコペプチド系抗生物質であり、腎毒性や耳毒性といった副作用のリスクが高く、治療域が狭いため、有効性と安全性を確保するためにTDMが強く推奨されます。
- 5. メロペネムはカルバペネム系抗生物質であり、広範囲の抗菌スペクトルを持ちますが、アンピシリンやセファゾリンと同様にTDMは通常行われません。正しくは:メロペネムは、その有効性と安全性のプロファイルから、一般的な臨床状況ではTDMを必要としません。選びやすい理由:重症感染症に使われるため、TDMが必要と誤解する可能性があります。混同注意:難治性感染症に用いられる薬剤であるという点で、TDMが必要な薬剤と混同する可能性があります。
国試ポイント
TDMが必要な薬剤の代表例とその理由を理解しているか問う問題です。治療域の狭さ、重篤な副作用、薬物動態の個体差が大きい薬剤がTDMの対象となることを把握しているかが重要です。特に抗生物質の中では、アミノグリコシド系やグリコペプチド系が頻繁に出題されます。
混同注意
TDMが不要な一般的な抗生物質(β-ラクタム系、マクロライド系、ニューキノロン系など)と、TDMが必要な抗生物質(アミノグリコシド系、グリコペプチド系、一部の抗真菌薬など)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、TDMが必要な他の代表的な薬剤(例:ゲンタマイシン、シクロスポリン、フェニトイン、テオフィリンなど)が選択肢に含まれるか、あるいはTDMの目的や採血タイミングについて問われる可能性があります。
関連知識
治療薬物モニタリング(TDM)の対象となる薬剤の特性(治療域が狭い、毒性が高い、薬物動態に個人差が大きい、相互作用が多いなど)、TDMの目的(有効性・安全性の確保)、TDMの具体的な実施方法(採血タイミング、目標血中濃度域)。TDMが推奨される主な薬剤群(アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、免疫抑制剤、抗てんかん薬、ジギタリス製剤など)。