APTT延長を認めたため、APTTにてクロスミキシング試験を実施した。結果を表に示す。 考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
クロストミキシング試験(混合試験)は、APTT延長の原因が凝固因子の欠乏によるものか、または阻害物質(インヒビター)によるものかを鑑別するために行われる。被検血漿と正常血漿を混合した場合、凝固因子の欠乏であれば正常血漿中の凝固因子によってAPTTは是正(短縮)される。一方、阻害物質が存在する場合は、正常血漿を混合してもAPTTは是正されず、延長したままである。提示された表の結果では、混合血漿においてもAPTTが延長したままであり、是正されていない。これは、凝固因子の欠乏ではなく、抗リン脂質抗体症候群でみられるようなインヒビターの存在を示唆している。抗リン脂質抗体(特にループスアンチコアグラント)は、リン脂質依存性の凝固反応を阻害し、APTTを延長させるが、凝固因子を消費するわけではないため、混合試験で是正されない。
選択肢ごとの解説
- 1. 血友病B(第IX因子欠乏症)の場合、混合試験で正常血漿を添加すると、欠乏していた凝固因子が補われるためAPTTは正常に是正されるはずである。正しくは:血友病Bであれば、混合試験で正常血漿を添加するとAPTTは是正される。選びやすい理由:凝固因子欠乏症の多くはAPTTが是正されるため、混同しやすい。混同注意:凝固因子欠乏症とインヒビターの鑑別を理解していないと誤る可能性がある。
- 2. von Willebrand病は、von Willebrand因子(vWF)の質的・量的異常により血小板粘着能や第VIII因子安定化能が低下する疾患です。APTT延長を呈する場合がありますが、第VIII因子の低下が原因であるため、混合試験で正常血漿を添加するとAPTTは是正されます。正しくは:von Willebrand病であれば、混合試験で正常血漿を添加するとAPTTは是正される。選びやすい理由:APTT延長を呈する疾患として知られているため、選択肢として魅力的である。混同注意:von Willebrand病と、それ以外のAPTT延長を伴う凝固因子欠乏症の区別が曖昧だと間違えやすい。
- 3. ビタミンK欠乏症では、ビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X因子)の産生が低下するため、APTTおよびPTが延長する。この場合、混合試験で正常血漿を添加すると、欠乏していた凝固因子が補われるためAPTTは正常に是正されるはずである。正しくは:ビタミンK欠乏症であれば、混合試験で正常血漿を添加するとAPTTは是正される。選びやすい理由:APTT延長を呈する一般的な原因の一つであり、知識が不足していると誤って選択しがちである。混同注意:凝固因子欠乏によるAPTT延長と、インヒビターによるAPTT延長の鑑別ができていないと正答できない。
- 4. 正解。抗リン脂質抗体症候群では、抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラントなど)が存在することで、リン脂質依存性の凝固反応が阻害され、APTTが延長することがある。クロストミキシング試験でAPTTが是正されない(延長したまま)場合、これは血漿中の凝固因子欠乏ではなく、何らかの阻害物質(インヒビター)が存在することを示唆しており、抗リン脂質抗体はその代表的なものである。正しくは:正しい。選びやすい理由:他の凝固異常疾患と混同する。混同注意:凝固因子欠乏症とインヒビターの鑑別におけるクロストミキシング試験の役割を理解していないと正答は難しい。
- 5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)は、全身性の凝固亢進状態であり、凝固因子の消費によりAPTT延長を呈する場合がある。しかし、この場合も凝固因子が消費されて欠乏している状態であるため、混合試験で正常血漿を添加すればAPTTは是正されるはずである。正しくは:DICであれば、凝固因子の消費によるAPTT延長であるため、混合試験で正常血漿を添加するとAPTTは是正される。選びやすい理由:APTT延長を伴う重篤な疾患として知られているため、知識不足だと選択してしまう可能性がある。混同注意:DICの病態生理と、それがクロストミキシング試験の結果にどう影響するかを理解していないと誤る。
国試ポイント
APTT延長の原因鑑別におけるクロストミキシング試験の意義を理解しているかが問われている。特に、凝固因子欠乏とインヒビター(ループスアンチコアグラントなど)の鑑別が重要である。
混同注意
凝固因子欠乏症(血友病、ビタミンK欠乏症、DICなど)は混合試験でAPTTが是正されるため、インヒビターの存在を示唆する結果と混同しないように注意が必要である。
次に同じ論点が出たら
クロストミキシング試験の結果から、是正されるか否かを判断し、凝固因子欠乏とインヒビターのどちらを原因とするかを識別する。
関連知識
APTTとは内因系および共通系の凝固経路を反映する検査である。APTT延長の原因として、凝固因子欠乏(第XII, XI, IX, VIII因子欠乏、共通系因子欠乏、von Willebrand病)、ヘパリンなどの抗凝固薬の影響、そしてインヒビター(ループスアンチコアグラント、第VIII因子インヒビターなど)が挙げられる。