ホルマリンについて誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)が酸化されると、ギ酸(HCOOH)が生成されます。クエン酸(C6H8O7)は異なる構造を持つトリカルボン酸であり、ホルムアルデヒドの酸化によって生成されることはありません。ホルマリンの劣化は主にギ酸の生成によるpHの低下が問題となります。
選択肢ごとの解説
- 1. ホルムアルデヒドは国際がん研究機関(IARC)によりグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されています。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:発がん性物質に関する知識が曖昧だと、これが誤りだと判断してしまう可能性があります。混同注意:他の化学物質の発がん性分類と混同することがあります。
- 2. ホルマリンは光によって酸化され、ギ酸が生成されることがあります。このギ酸がpHを低下させ、組織標本への影響(特に石灰化)を招く可能性があるため、遮光保存が適切です。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:化学物質の保管条件に対する一般的な知識が不足していると、誤りだと判断してしまう可能性があります。混同注意:他の薬品の保管条件と混同することがあります。
- 3. ホルムアルデヒドを30%以上含む製剤は、日本の毒物及び劇物取締法において劇物に指定されています。ホルマリンは通常35-38%のホルムアルデヒド水溶液であるため、医薬用外劇物(劇物)に該当します。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:毒劇物に関する法規制の知識が不足していると、誤りだと判断してしまう可能性があります。混同注意:毒物と劇物の区別、あるいは他の指定化学物質と混同することがあります。
- 4. 正解。ホルマリン(ホルムアルデヒド)が酸化されると、クエン酸ではなくギ酸が生成されます。ギ酸の生成はホルマリンの劣化を引き起こし、pHを低下させる原因となります。正しくは:酸化されるとギ酸を生じます。選びやすい理由:化学反応に関する知識が曖昧な場合、間違いに気づきにくいかもしれません。あるいは「酸」という言葉だけで連想されてしまうこともあります。混同注意:他の有機酸の生成反応や、別の生化学的な代謝経路でクエン酸が生成されることと混同することがあります。ホルムアルデヒドの酸化生成物がギ酸であるという基本的な化学反応の知識が問われています。
- 5. ホルマリン原液は、ホルムアルデヒドの自己酸化や重合によって微量のギ酸を生成しやすいため、弱酸性を示すのが一般的です。市販のホルマリンには安定剤としてメタノールが添加されていることが多く、pHは通常4.0〜7.0程度です。完全に中性になることは稀で、pHは酸性に傾きやすいです。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:中性であると勘違いしやすい、あるいは「酸」という言葉に過剰に反応して誤りだと判断してしまう可能性があります。混同注意:純粋なホルムアルデヒドとホルマリン(水溶液)の性質、あるいは安定剤の影響と混同することがあります。
国試ポイント
この問題は、ホルマリン(ホルムアルデヒド)の基本的な化学的性質、特にその酸化生成物に関する知識を問うものです。その他、保管方法、安全性(発がん性、毒劇物)、およびpH特性についても理解が求められます。
混同注意
ホルムアルデヒドの酸化生成物である「ギ酸」と、全く異なる構造を持つ「クエン酸」を混同すること。また、毒劇物の分類、発がん性の有無、および保管条件といった、臨床検査で日常的に扱う試薬の基本的な情報に関する誤解。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、ホルマリンだけでなく、他の主要な臨床検査試薬(例: エタノール、アセトン、塩酸など)についても、その化学的性質(酸化/還元生成物)、保管方法、安全性(毒性、引火性)、および臨床検査における用途や注意点を横断的に確認すること。
関連知識
ホルムアルデヒドの化学式(HCHO)とギ酸の化学式(HCOOH)を理解していれば、ホルムアルデヒドが酸化されてカルボン酸になる際に炭素原子数は変わらず、ギ酸が生成されることが推測できます。また、ホルマリンが組織固定剤として用いられる理由(タンパク質の架橋反応)や、固定液のpHが組織標本に与える影響(特に色素沈着や石灰化)についても関連知識として重要です。ホルムアルデヒドの安全性データシート(SDS)の内容についても理解しておくと良いでしょう。