細菌と分離培地の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
選択肢2のBacteroides fragilisは、嫌気性菌であり、BBE (Bacteroides Bile Esculin) 寒天培地は胆汁酸耐性がありエスクリンを加水分解するBacteroides属菌、特にB. fragilisの選択分離に用いられます。選択肢4のClostridioides difficileは、腸炎の原因菌であり、CCFA (Cycloserine-Cefoxitin Fructose Agar) 培地が特異性の高い選択分離培地として広く使用されます。この培地ではフルクトース分解によるpH低下でコロニーが黄色く変化するのが特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. Aeromonas hydrophilaはTCBS培地で増殖可能ですが、TCBS寒天培地は主にビブリオ属菌(Vibrio cholerae, Vibrio parahaemolyticusなど)の選択分離培地として用いられます。Aeromonasの分離には別の選択培地(例: CIN寒天培地など)がより適しています。正しくは:Aeromonas hydrophila - CIN寒天培地選びやすい理由:Aeromonasもビブリオ科に分類されていた歴史があり、水系細菌であるためTCBS培地と関連付けてしまいやすい。混同注意:TCBS培地がVibrio属菌の選択培地であることと、Aeromonasの適切な選択培地(CIN培地など)の知識。
- 2. 正解。Bacteroides fragilisは主要な嫌気性菌であり、BBE (Bacteroides Bile Esculin) 寒天培地は、その名が示す通りBacteroides属菌の選択分離培地として広く用いられます。エスクリン加水分解能と胆汁酸耐性を利用しています。
- 3. NAC寒天培地は通常、Non-Agglutinating Campylobacterの略ではなく、ナリジクス酸・アンホテリシンB・コリスチンを含むカンピロバクター選択培地の成分を示すことがありますが、一般的にカンピロバクターの分離にはCCDA (Campylobacter Charcoal Deoxycholate Agar) 培地やスキロー培地、プレストン培地などが使用されます。NAC培地という名称が特定の標準的な培地を指すことは稀です。正しくは:Campylobacter jejuni - CCDA培地(またはスキロー培地、プレストン培地)選びやすい理由:「NAC」がカンピロバクターに関連する薬剤の頭文字と誤解されやすい。選択培地の名前が多数あり、知識が混乱しやすい。混同注意:Campylobacter jejuniの一般的な選択培地名(CCDA、スキロー、プレストンなど)と、薬剤の頭文字を組み合わせた架空の名称。
- 4. 正解。Clostridioides difficile(旧Clostridium difficile)の分離には、サイクロセリン・セフォキシチン・フルクトース寒天培地(CCFA: Cycloserine-Cefoxitin Fructose Agar)が特異性の高い選択分離培地として使用されます。フルクトースを分解し黄色コロニーを形成する特徴が利用されます。
- 5. PPLO寒天培地は、主にマイコプラズマ(Pleuropneumonia-Like Organisms)の培養に用いられる特殊培地です。Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)の培養には、血液寒天培地やチョコレート寒天培地など、豊富な栄養を含む培地が適しています。正しくは:Neisseria meningitidis - チョコレート寒天培地(または血液寒天培地)選びやすい理由:Neisseriaが培養に特殊な条件を要する細菌であるため、特殊な名前の培地と結びつけやすい。混同注意:Neisseria属菌の培養条件と、PPLO培地の本来の用途(マイコプラズマ培養)の知識。
国試ポイント
本問題は、主要な臨床細菌と、それぞれの選択分離培地の正しい組み合わせを問うものです。特に、特殊な栄養要求性や培養条件を持つ細菌(嫌気性菌、微好気性菌など)と、それに対応する選択培地の知識が問われています。誤りの選択肢には、一般的な細菌の培地と混同しやすいものや、存在しない培地名、あるいは異なる細菌の培地が提示されるパターンが見られます。
混同注意
細菌の分離培地は種類が多く、特に病原性の高い特定の細菌には専用の選択培地が用意されているため、それぞれの特徴と使用目的を正確に把握しておく必要があります。特に名前が似ていたり、略語が似ていたりする培地、または組成の一部が共通する培地との混同に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず問題文に「選択培地」または「分離培地」というキーワードがあるかを確認し、特定の細菌に特異的な培地を選ぶ必要があります。グラム染色性、酸素要求性、主要な臨床分離部位などの細菌の基本的特性と、それぞれの特性に応じた培地の構成成分(選択剤、鑑別成分)を結びつけて判断することが重要です。
関連知識
細菌の培養培地は、その組成や添加物によって、非選択培地(一般培地)、選択培地、鑑別培地などに分類されます。選択培地は特定の細菌のみを増殖させる目的で、増殖抑制剤(抗生物質、胆汁酸など)や選択的な栄養源が加えられています。本問題では、嫌気性菌(Bacteroides fragilis, Clostridioides difficile)、微好気性菌(Campylobacter jejuni)、グラム陰性桿菌(Aeromonas hydrophila)、グラム陰性球菌(Neisseria meningitidis)といった多様な細菌の特性と培地の関連性が問われています。