血清コリンエステラーゼのフルオライド阻害率測定に用いられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
血清コリンエステラーゼ(ChE)は、主に肝臓で合成され、有機リン中毒の診断や肝機能障害の指標として用いられます。また、遺伝的変異によってChEの活性が低下している場合があり、これを『異常ChE』と呼びます。異常ChEのスクリーニング検査として、特定の阻害剤を用いた阻害率測定が行われます。フルオライド(フッ化ナトリウム, NaF)阻害率測定は、特にE1K(非典型的コリンエステラーゼ)などの異常ChEを検出するために用いられ、阻害剤としてNaFが使用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。血清コリンエステラーゼのフルオライド阻害率測定は、異常ChEのスクリーニング検査の一つであり、フルオライド(フッ化ナトリウム)を阻害剤として用います。これにより、変異型ChEの検出が可能となります。
- 2. エゼリン(フィゾスチグミン)は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)およびブチリルコリンエステラーゼ(BChE、旧称ChE)の両方を可逆的に阻害する薬剤ですが、血清ChEのフルオライド阻害率測定の阻害剤としては使用されません。正しくは:エゼリンは、主にアルツハイマー病治療薬として、脳内のアセチルコリン濃度を上昇させる目的で用いられます。血清ChEのフルオライド阻害率測定の阻害剤はフッ化ナトリウムです。選びやすい理由:コリンエステラーゼを阻害するという点で関連があるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:特定の異常コリンエステラーゼの識別ではなく、一般的なコリンエステラーゼ阻害剤として認識されがちです。
- 3. ジブカインは、血清コリンエステラーゼの異常型検出に用いられる阻害剤の一つですが、フルオライド阻害率とは別の測定系(ジブカイン阻害率)で用いられます。フルオライド阻害率測定には使用されません。正しくは:フルオライド阻害率測定ではフッ化ナトリウムを使用します。ジブカインは、異常ChEの検出に用いられる別の阻害剤であり、ジブカイン阻害率を測定します。選びやすい理由:異常コリンエステラーゼの検査に関連する阻害剤であるため、正しい選択肢と誤解されやすいです。混同注意:フルオライド阻害率とジブカイン阻害率という、血清コリンエステラーゼの異なる異常型検出法を混同する可能性があります。
- 4. パラチオンは有機リン系殺虫剤の一種で、コリンエステラーゼを不可逆的に阻害することにより毒性を発揮します。これは検査目的の阻害剤ではなく、中毒の原因物質です。正しくは:パラチオンは、有機リン中毒時にコリンエステラーゼ活性を著しく低下させる毒物であり、血清ChEの検査で阻害剤として意図的に使用することはありません。選びやすい理由:コリンエステラーゼの阻害作用があるため、阻害剤という言葉から連想されやすいですが、検査用の試薬ではありません。混同注意:コリンエステラーゼの『阻害』という共通の作用から、検査試薬と混同する可能性があります。
- 5. サクシニルコリンは、手術時の筋弛緩剤として用いられる薬剤であり、コリンエステラーゼによって加水分解されます。血清コリンエステラーゼのフルオライド阻害率測定の阻害剤として直接使われるものではありません。正しくは:サクシニルコリンはブチリルコリンエステラーゼの基質であり、その分解速度はChE活性を反映します。フルオライド阻害率測定の阻害剤はフッ化ナトリウムです。選びやすい理由:コリンエステラーゼとの相互作用があるため、関連が深いと誤解されやすいです。特に、異常ChEで分解が遅延するため、その検査との関連性を連想しやすいです。混同注意:コリンエステラーゼ活性測定の基質や、ChE異常による薬物代謝遅延の文脈と混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、血清コリンエステラーゼの異常型検出における特定の阻害剤の知識を問うものです。特に、フルオライド阻害率とジブカイン阻害率が異なる異常型を検出するために使われること、それぞれの阻害剤が何かを理解しているかが重要です。コリンエステラーゼに関連する薬剤や毒物との混同に注意が必要です。
混同注意
ジブカイン阻害率とフルオライド阻害率。両者とも異常ChE検出に用いられるが、異なる種類の異常ChE(ジブカイン抵抗性、フルオライド抵抗性)を検出するための異なる阻害剤を用いる。また、エゼリンやパラチオンといった他のコリンエステラーゼ関連物質との混同も起こりやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、ジブカイン阻害率測定に用いられる阻害剤は何か、異常ChEの種類(E1K、E1Aなど)とそれぞれの阻害率の関係、または有機リン中毒時のChE活性変動について問われる可能性があります。
関連知識
血清コリンエステラーゼ(ブチリルコリンエステラーゼ、BChE)の生理的役割、臨床的意義(肝機能、有機リン中毒、遺伝性異常ChE)。異常ChEの検出方法とその目的(手術時の筋弛緩剤サクシニルコリンの代謝遅延による遷延性無呼吸のリスク評価)。