無機質の動態で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
代謝性アルカローシスでは、細胞外液のpHが上昇するため、体は平衡を保とうと細胞内の水素イオンを細胞外へ移動させます。この際、電気的中性を保つために、カリウムイオンが細胞外から細胞内へ移動します(K+/H+交換)。結果として血漿中のカリウム濃度は低下し、低カリウム血症を呈します。したがって、「高カリウム血症をきたす」という記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. この記述は正しいです。腎機能が低下すると、マグネシウムの排泄が十分にできなくなり、高マグネシウム血症を招くことがあります。正しくは:「腎臓の機能が低下すると、血液中のマグネシウム濃度が上昇することがあります。」という記述は正しいため、修正不要です。選びやすい理由:腎不全と電解質の関係は基本事項であり、正しい内容のため選択肢として適切に見えます。混同注意:他の電解質異常(高カリウム血症など)との混同。腎機能低下は様々な電解質異常を引き起こすため、それぞれのメカニズムを理解しているかが問われます。
- 2. この記述は正しいです。副甲状腺機能低下症では、副甲状腺ホルモンの分泌が低下し、これにより腎臓からのリン排泄が抑制されるため、高無機リン血症を引き起こします。正しくは:「副甲状腺の機能が低下すると、血中の無機リン濃度が上昇することがあります。」という記述は正しいため、修正不要です。選びやすい理由:副甲状腺とリン・カルシウムの関係は複雑であり、どちらかが上がるとどちらかが下がるという原則と合致するため、正しい選択肢に見えます。混同注意:カルシウムとリンのバランス。副甲状腺機能低下症では高リン血症と低カルシウム血症が見られます。
- 3. 正解。代謝性アルカローシスでは、細胞外の水素イオンが減少するため、細胞内の水素イオンが細胞外に移動し、代わりに細胞外のカリウムイオンが細胞内に移動します。これにより、血液中のカリウム濃度は低下(低カリウム血症)します。したがって、「高カリウム血症をきたす」という記述は誤りです。正しくは:代謝性アルカローシスの状態では、血液中のカリウム濃度が『低下する』傾向があります。選びやすい理由:アシドーシスでは高カリウム血症をきたすため、その逆でアルカローシスでも同様のカリウム異常が起こるという推測はできるが、方向が逆なので注意が必要です。混同注意:代謝性アシドーシス時のカリウム動態。アシドーシスでは細胞外へのカリウム流出が起こり高カリウム血症になりますが、アルカローシスでは逆の動きが起こります。
- 4. この記述は正しいです。異所性PTH産生腫瘍は、副甲状腺以外の場所でPTH関連ペプチド(PTHrP)を産生し、これがPTHと同様に骨からのカルシウム放出促進や腎臓でのカルシウム再吸収促進を引き起こすため、高カルシウム血症を招きます(悪性腫瘍による高カルシウム血症の主要な原因の一つ)。正しくは:「体内で異所性にPTH(副甲状腺ホルモン)を産生する腫瘍があると、高カルシウム血症をきたすことがあります。」という記述は正しいため、修正不要です。選びやすい理由:悪性腫瘍と高カルシウム血症の関係はよく知られており、特にPTHrPによるものは重要です。混同注意:原発性副甲状腺機能亢進症との混同。PTH産生という点で似ているが、病態の出発点が異なります。
- 5. この記述は正しいです。原発性アルドステロン症では、アルドステロンの過剰分泌により、腎臓でのナトリウム再吸収が促進され、結果として高ナトリウム血症を引き起こすことがあります(ただし、水分の再吸収も同時に起こるため、劇的な高ナトリウム血症になることは稀で、正常範囲内の高値が多いとされます)。正しくは:「原発性アルドステロン症になると、血中のナトリウム濃度が高くなることがあります。」という記述は正しいため、修正不要です。選びやすい理由:アルドステロンの主要な作用の一つはナトリウム再吸収促進であるため、高ナトリウム血症は連想されやすいです。混同注意:高血圧との関連。原発性アルドステロン症は高血圧の原因疾患であり、電解質異常(低カリウム血症、高ナトリウム血症)と併せて理解することが重要です。
国試ポイント
本問題は、無機質(電解質)の動態とその異常を引き起こす病態生理について、基本的な知識を網羅的に問うものです。特に、酸塩基平衡と電解質の関係、内分泌疾患と電解質の関係が頻出テーマです。各選択肢について、なぜその電解質異常が起こるのか、そのメカニズムを理解しているかが重要となります。
混同注意
酸塩基平衡異常と電解質異常の関連(特にアシドーシスとアルカローシスでのカリウム動態の逆方向性)。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、疾患名とそれに伴う電解質異常(高/低)の組み合わせが正しいか、そしてその機序が適切に説明できるかを確認します。
関連知識
腎不全と電解質異常(カリウム、リン、マグネシウム)、副甲状腺機能異常とカルシウム・リン、アルドステロンとナトリウム・カリウム、PTHrPと高カルシウム血症。