40歳女性。生しらうおの食歴がある。皮膚病変(別冊No. 1)を別に示す。考えられる寄生虫はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
顎口虫症は、生食した魚介類などを介して感染する線虫症です。ヒトの体内では成虫になれず、幼虫が皮下を移動するため、遊走性の浮腫や、特徴的な皮膚爬行症(クリーピング病変)を引き起こします。生しらうおは顎口虫の感染源となることが知られています。患者の症状と食歴から、顎口虫が最も疑われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 鞭虫は主に大腸に寄生し、下痢や腹痛などの消化器症状を引き起こします。皮膚病変との直接的な関連は通常ありません。正しくは:鞭虫は消化器症状(下痢、腹痛、血便など)を主訴とします。皮膚病変とは関連が薄いです。選びやすい理由:寄生虫であることは共通していますが、症状が異なります。混同注意:他の消化器系寄生虫と混同しやすいですが、本症例は皮膚症状が特徴です。
- 2. 肝吸虫は肝臓の胆管に寄生し、胆管炎や肝機能障害、黄疸などを引き起こします。皮膚症状とは関連が薄いです。感染源は淡水魚の生食ですが、生しらうおは主な感染源ではありません。正しくは:肝吸虫は肝臓に寄生し、肝胆道系の症状(黄疸、発熱、腹痛、肝機能障害など)を呈します。皮膚病変とは関連が薄いです。選びやすい理由:淡水魚の生食による感染という点は共通していますが、ターゲット臓器と症状が異なります。混同注意:生魚を介した寄生虫感染症全般と混同しやすいですが、症状と寄生部位が異なります。
- 3. 正解。顎口虫の幼虫は、主に淡水魚(ドジョウ、ライギョ、ウナギなど)やカエル、ヘビなどの生食によって感染します。しらうおも感染源となることがあります。ヒトの体内では成虫になれず、幼虫が皮下を移動することで、遊走性、間欠的な腫脹を伴う皮膚爬行症(クリーピング病変)や、皮下腫瘤を形成することが特徴的な症状です。正しくは:正答です。生しらうおの喫食歴と遊走性の皮膚病変は顎口虫症の特徴です。選びやすい理由:特になし。生食歴と皮膚症状が合致する選択肢です。混同注意:皮膚爬行疹を引き起こす他の幼虫移行症(例:犬鉤虫など)と混同しやすいですが、本症例は食歴から顎口虫が強く疑われます。
- 4. 東洋毛様線虫は眼に寄生し、結膜炎や異物感、視力低下などを引き起こします。皮膚病変とは異なります。感染源は主に淡水魚や両生類の生食ですが、眼症状が特徴です。正しくは:東洋毛様線虫は眼に寄生し、眼の症状(結膜炎、異物感など)を引き起こします。皮膚症状ではありません。選びやすい理由:生魚の摂取による感染という点は共通していますが、寄生部位と症状が異なります。混同注意:他の魚介類由来の寄生虫感染症と混同しやすいですが、症状の局在が異なります。
- 5. 日本海裂頭条虫はサケ・マス類などの生食で感染し、小腸に寄生して無症状から腹痛、下痢、貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)などを引き起こします。皮膚病変は認められません。正しくは:日本海裂頭条虫は小腸に寄生し、消化器症状やビタミンB12欠乏性貧血を呈します。皮膚病変とは関連がありません。選びやすい理由:生魚の摂取による感染という点は共通していますが、寄生部位と症状が大きく異なります。混同注意:他の条虫類や消化器症状を示す寄生虫と混同しやすいですが、皮膚症状を伴いません。
国試ポイント
寄生虫感染症の病態と感染経路に関する知識、特に食歴と症状の組み合わせから原因寄生虫を特定する能力が問われています。画像から皮膚爬行症を認識し、その原因となる寄生虫を関連付けることが重要です。
混同注意
顎口虫症と類似の皮膚症状を呈する他の幼虫移行症(例:犬鉤虫による皮膚幼虫移行症)や、生魚介類を介して感染する他の寄生虫症(肝吸虫、日本海裂頭条虫など)との鑑別がポイントになります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず患者の食歴(生食の有無と内容)を確認し、次に特徴的な臨床症状(皮膚病変、消化器症状、眼症状など)に注目して、これらと合致する寄生虫を選択します。
関連知識
顎口虫の生活環、中間宿主(ケンミジンコ、淡水魚など)、終宿主(ネコ、イヌなど)。主な感染源となる食品。その他の人獣共通感染症を引き起こす寄生虫とその臨床症状。