骨格筋の収縮で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
骨格筋の収縮は「滑り説」によって説明されます。これは、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが互いに滑り込むことで筋節(サルコメア)が短縮する現象を指します。この時、個々のフィラメント自体の長さは変化しません。
選択肢ごとの解説
- 1. アクチン自体はATPを消費しません。ATPを消費して加水分解するのはミオシン頭部であり、それがアクチンフィラメントに結合・解離する際にエネルギーとして利用されます。正しくは:ミオシンがATPを消費する。選びやすい理由:筋収縮にATPが必要なのは事実であるため、エネルギー消費の主体を混同しやすいです。混同注意:ATPが消費されるプロセスと、ATPを消費するタンパク質を混同しやすいです。
- 2. 骨格筋の収縮に必要なカルシウムイオンは、主に筋小胞体から放出されます。細胞外からのカルシウムイオン流入は、心筋や平滑筋の収縮においては重要ですが、骨格筋では主要な役割ではありません。正しくは:筋小胞体からのカルシウムイオンが必要である。選びやすい理由:筋収縮にカルシウムイオンが必要であることは正しいので、その供給源を誤解しやすいです。混同注意:骨格筋と心筋・平滑筋におけるカルシウムイオンの供給源の違いを混同しやすいです。
- 3. 筋収縮は大量のエネルギーを消費する活動であり、そのエネルギー源としてグリコーゲンは分解され、ATP産生に利用されます。そのため、筋収縮の結果としてグリコーゲンが蓄積されることはなく、むしろ消費されます。正しくは:筋収縮の結果、グリコーゲンが消費される。選びやすい理由:筋にグリコーゲンが貯蔵されているという知識から、筋収縮との関連を誤解しやすいです。混同注意:グリコーゲンの貯蔵と消費の関係、およびエネルギー産生と貯蔵のプロセスを誤解しやすいです。
- 4. 正解。筋収縮は、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間を滑り込むことで生じます(滑り説)。この過程で、個々のアクチンフィラメントやミオシンフィラメント自体の長さは変化せず、筋節(サルコメア)全体の長さが短縮します。
国試ポイント
骨格筋収縮のメカニズム、特に「滑り説」の基本原理と、それに伴うフィラメントや筋節の変化についての理解が問われています。また、筋収縮におけるATPとカルシウムイオンの役割、およびその供給源(骨格筋、心筋、平滑筋の違い)についても区別できるかが重要です。
混同注意
ATPを消費するのはミオシン頭部でありアクチンではありません。骨格筋のCaイオンは筋小胞体由来が主であり細胞外ではありません。筋収縮はグリコーゲンを消費し蓄積しません。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、以下の点を確認すると良いでしょう。1. 各フィラメントの長さ変化:アクチン・ミオシンフィラメント自体の長さは不変。2. 筋節各部位の長さ変化:A帯の長さは不変、I帯とH帯は短縮。Z膜間の距離は短縮。3. ATPの役割と消費部位:ATPはミオシン頭部による結合・解離とポンプ作用(Ca再取り込み)に消費される。4. カルシウムイオンの役割と供給源:骨格筋では筋小胞体から放出されるCaイオンがトロポニンに結合し、筋収縮を誘発する。5. 筋収縮とエネルギー代謝:筋収縮はエネルギー消費活動であり、グリコーゲンや脂肪が分解されATPが産生される。
関連知識
筋節(サルコメア)の構造(A帯、I帯、Z膜、H帯)、滑り説における各部位の変化(A帯の長さは変化しない、I帯とH帯は短縮する)、筋収縮の興奮収縮連関(神経筋接合部、アセチルコリン、活動電位、T細管、筋小胞体、Caイオン放出、トロポニン・トロポミオシン複合体、ミオシン頭部の結合とパワー・ストローク)、ATPの再生経路(クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系)