高齢の親の介護が必要となった家族の発達課題で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
親の介護が必要になるという状況は、家族ライフサイクルにおいて大きな転換点です。これまでの親子関係、夫婦関係、兄弟関係といった家族内の役割や力動が変化するため、新たな状況に適応し、家族として機能し続けるために、これらの関係性を再構築することが中心的な発達課題となります。例えば、子が親の介護者となることで「親を保護する子」という新たな役割が生まれたり、兄弟姉妹間で介護分担の調整が必要になったりします。
選択肢ごとの解説
- 1. 親の介護が始まっても、家族全体が社会との関わりを縮小することは一般的ではありません。むしろ、介護サービス利用のために社会と新たな関係を築くこともあります。正しくは:「介護者自身の社会性の維持や拡大」あるいは「新たな社会資源との連携」などが該当しうる。選びやすい理由:介護負担が増えることで、家族が一時的に社会活動に参加しにくくなる状況と混同しやすい。混同注意:介護者の負担増による社会参加の制限と、家族全体の「発達課題」としての社会性縮小を混同している。
- 2. 親の介護が必要になると、それまでの家族関係や役割分担では対応しきれない状況が生まれます。子どもが親の介護者になったり、配偶者間の役割が変わったりと、新たな役割が追加されたり、再編成されることが通常です。正しくは:「家族役割の再編成または役割の追加」が適切です。選びやすい理由:家族の安定を維持しようとする心理から、「役割を維持すること」が良いことのように感じられるかもしれない。混同注意:家族の「安定」と「変化への適応」を混同している。発達課題とは、新たな状況に適応するために変化することです。
- 3. 正解。親の介護が始まると、親子関係、夫婦関係、兄弟関係など、家族内の様々な関係性が変化します。子どもが親の世話をする立場になる「世代間の逆転」が生じたり、夫婦間で介護負担を分担したりと、これまでの関係性では成り立たなくなるため、新たな状況に適応できるよう関係性を再構築することが重要な発達課題となります。
- 4. 子離れ・親離れは、子どもが青年期から成人期にかけて確立する発達課題です。親の介護が必要となる時期は、多くの場合、子どもはすでに成人しており、この課題はすでに確立されているか、あるいは別の形で向き合っている段階です。むしろ、介護の必要性から、再び相互依存の関係性が深まることもあります。正しくは:「世代間の相互依存関係の再認識とバランスの模索」などが該当しうる。選びやすい理由:独立した関係性から介護による相互依存への変化の難しさと混同するかもしれない。しかし、これは「子離れ・親離れ」とは別の課題です。混同注意:家族ライフサイクルの異なる段階の発達課題を混同している。子離れ・親離れは、親の介護が必要になる前の段階の課題です。
国試ポイント
高齢者のいる家族が直面する発達課題、特に介護を必要とする状況における家族の動態を理解しているかを問う問題です。家族ライフサイクル論や、高齢者介護における家族の役割と適応についての知識が求められます。表面的なキーワードではなく、その裏にある家族の変化の本質を捉えることが重要です。
混同注意
「家族役割の維持」と混同しやすいが、介護状況下では役割の「維持」ではなく「再編成」が求められます。また、「子離れ・親離れの確立」は、多くの場合、親の介護が必要になるよりも前の段階で達成されるべき発達課題であり、時期が異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、介護を要する家族が経験する「具体的な変化(役割の変更、感情の調整、経済的負担、社会関係の変化など)」が選択肢に提示される可能性があります。また、家族だけでなく「介護者自身の発達課題」や「ヤングケアラーの問題」に焦点を当てた出題も考えられます。
関連知識
家族ライフサイクル論(ダヴェンポート、マクゴールドリックらの理論)、世代間の逆転(ピアジェ、エリクソンなどの発達段階論における文脈)、介護における家族システム論、高齢者虐待の予防、社会的支援システムの活用。