Aさん(70歳)は脳梗塞の後遺症で片麻痺があり、要支援2と認定された。杖で歩行しており、尿意はある。リハビリテーション病院から介護施設に入所することになった。Aさんの排泄に関する支援で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは脳梗塞による片麻痺があり、杖歩行をしているため、転倒リスクが高い状態です。加えて、尿意があるため排泄のために急いで移動することが想定され、その際に転倒する危険性が増します。このような状況下で、最も優先すべきは安全の確保、特に転倒予防です。滑り止めのついた履物を着用することは、足元の安定性を高め、滑りによる転倒を防ぐための直接的かつ効果的な支援策であり、自立した排泄行動を安全に継続するために不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 片麻痺があり杖歩行可能なAさんの場合、トイレまでの移動の安全確保や、移動経路の分かりやすさの確保が優先されます。排尿誘導は、尿失禁がみられる場合や排尿習慣の再構築を目指す場合に有効ですが、本事例では尿意があるため優先度は低いです。正しくは:Aさんの尿意の自覚と残存能力を尊重し、自力での安全な排泄行動を支援する介入を優先します。選びやすい理由:排泄ケアの基本的な介入の一つであり、介護施設での集団生活を考えると、規則正しい排泄パターンを確立する目的で選択肢として魅力的です。混同注意:尿意の自覚がない失禁患者や、膀胱訓練が必要な患者への介入と混同しやすいです。
- 2. Aさんは杖歩行が可能であり、自力でトイレへ移動できる能力があります。ポータブルトイレの設置は、その移動能力を低下させ、ADL(日常生活動作)の自立度を下げる可能性があります。また、活動範囲が狭まることで、かえって転倒リスクを高める場合もあります。正しくは:Aさんの現在の移動能力を維持・向上させるため、自力でのトイレ移動を支援し、可能な限り通常のトイレを使用してもらうことを目指します。選びやすい理由:夜間の転倒リスクを減らす目的で、移動が困難な患者や施設において広く採用される方法であるため、選びやすい選択肢です。混同注意:移動能力が著しく低い、またはベッド上での排泄が必要な患者への対応と混同しやすいです。
- 3. 新しい環境でトイレの場所を分かりやすくすることは重要ですが、Aさんは尿意があり、杖歩行も可能であるため、まず優先すべきは移動時の安全確保です。場所が分かっていても、移動中に転倒するリスクがあれば適切とは言えません。特に尿意切迫がある場合、急いで移動することによる転倒リスクが高まります。正しくは:トイレまでの導線を明確にすると同時に、その経路の安全性を確保し、つまずきやすい段差や障害物がないかを確認することが重要です。選びやすい理由:新しい環境への適応支援として、非常に適切なケアのように思えるため、選びやすいです。特に認知機能の低下がみられる患者には有効な手段です。混同注意:認知症患者や、新しい環境に不慣れな患者への環境調整と混同しやすいです。
- 4. 正解。片麻痺があり杖を使用しているAさんにとって、転倒予防は排泄ケアにおいて最も重要な要素の一つです。尿意があるため急いでトイレに向かう可能性があり、滑りやすい床や靴は転倒リスクを著しく高めます。滑り止めのついた履物は、足元の安定性を確保し、安全な移動を支援するための基本的な対策です。特に介護施設という新しい環境では、不慣れな場所で転倒するリスクがさらに高まります。
国試ポイント
脳梗塞後遺症を持つ高齢者に対する排泄ケアにおいて、転倒予防の視点が最も重要であることを理解しているか。特に、患者の残存機能(杖歩行、尿意自覚)を活かしつつ、安全を確保するための具体的な方法を選択できるかが問われています。
混同注意
一般的な排泄介助の方法(定時誘導など)や、認知機能が低下している患者への環境調整(目印の設置)と、身体機能に課題のある患者の安全確保(転倒予防)のための介入を混同しやすいです。本問では患者が杖歩行可能であり尿意があることから、自立を促しつつ安全を確保する支援が求められます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず患者の身体機能(麻痺の程度、移動能力、尿意の有無)、認知機能、生活環境(新しい場所か、自宅か)を総合的に評価し、その上で「患者の安全確保」と「残存機能の活用・自立支援」のどちらが優先されるか、あるいは両者を両立させるためにはどうすべきかを判断することが重要です。
関連知識
高齢者の転倒予防、片麻痺患者のADL支援、介護施設における排泄ケア、環境整備、自立支援、リスク管理(特に転倒リスク)。