Aちゃん(1歳9か月)は両親と保育所に通う姉のBちゃん(3歳)と4人で暮らしている。Aちゃんは重症の仮死で出生し、脳性麻痺と診断されている。食事、排泄、更衣は全介助である。食事はきざみ食を摂取しており、浣腸によって2日に1回排便がある。Aちゃんは全身の筋緊張が強く、肘関節と手関節は屈曲し、両下肢が交差し伸展する姿勢が多い。声かけやタッチングで笑顔がみられるが、発語はない。Aちゃんは月2回の外来受診をしており、受診の際に母親が看護師に「Aは食欲がありますが、時々むせてしまいます。日中は機嫌よく過ごすことが多いのですが、手足を突っ張らせて背を反り返ることがあり、夜眠らないことが時々あります」と話している。 母親は外来看護師に「姉のBは最近、私に甘えて傍を離れません。Aの世話でBに関わる時間が少ないので、短時間でもBとだけじっくり関われるようにしたいです」と話した。父親は会社員で夜の帰りが遅い。父親がBちゃんを保育所へ送り、母親がAちゃんを連れて迎えに行く。両親は、Aちゃんの育児をできるだけ在宅で行いたいと思っており、訪問看護を週1回1時間利用している。このときの外来看護師の母親への返答で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
選択肢4が最も適切です。母親は新生児Aちゃんの世話で手一杯な状況の中で、上の子Bちゃんが甘えていることに対し、「短時間でもBとだけじっくり関われる時間」を求めています。すでに週1回1時間の訪問看護を利用していることから、この時間をBちゃんの保育園お迎えの時間帯に調整できれば、訪問看護師がAちゃんのケアを担当する間、母親はBちゃんを迎えに行き、Bちゃんと個別に向き合う時間を確保できる可能性が高まります。これは、母親の要望に応えつつ、既存の社会資源を効果的に活用する現実的な提案です。
選択肢ごとの解説
- 1. Bちゃんが甘えているのは、母親の愛情や関心を求めている行動であり、単に状況を説明するだけでは、母親とBちゃんが直接関わる時間を確保するという母親の要望には応えられません。Bちゃんは言葉による理解よりも、具体的な関わりを求めている可能性が高いです。正しくは:Bちゃんが母親に甘えやすい環境を整え、具体的にBちゃんとの個別的な関わりを増やす方法を検討しましょう。選びやすい理由:きょうだい児への配慮は重要であり、情報共有は一般的な育児指導の一つであるため、一見正しい選択肢に見えるかもしれません。混同注意:きょうだい児への説明と、きょうだい児との個別的な関わりを混同しやすい。説明はあくまで一側面であり、求めているのは「じっくり関わる時間」です。
- 2. 設問文に「父親は会社員で夜の帰りが遅い」と明記されており、現実的に父親がBちゃんの保育園のお迎えを担当するのは難しいと考えられます。また、この提案は母親の育児負担軽減にはつながるかもしれませんが、「短時間でもBとだけじっくり関わる」という母親の核心的な要望を直接解決するものではありません。正しくは:母親がBちゃんと関わる時間を確保するために、家庭内の役割分担を再検討し、現実的に実現可能なサポートを話し合いましょう。選びやすい理由:父親の育児参加は推奨されるべきであり、母親の負担軽減につながるため、魅力的に感じるかもしれません。混同注意:理想的な育児分担と、現在の家庭状況・母親の具体的な要望に合わせた現実的な解決策を混同しやすいです。
- 3. 母親は「短時間でもBとだけじっくり関われるようにしたい」と話しており、Bちゃんを預けてしまうと、母親がBちゃんと個別に関わる時間を作るという目的とは逆行してしまいます。このサービスは母親の負担軽減にはなり得ますが、Bちゃんへの個別的な愛情表現の機会にはなりません。正しくは:Bちゃんと母親が一緒に過ごす時間を確保できるよう、他の家事やAちゃんの世話をサポートしてくれるサービスを検討しましょう。選びやすい理由:母親の育児負担を軽減するサービスとして、選択肢自体は正しい方向に思えるかもしれません。混同注意:母親の身体的負担の軽減と、上の子への心理的ケアの提供を混同しやすいです。
- 4. 正解。母親は「短時間でもBとだけじっくり関われるようにしたい」と望んでいます。訪問看護師がAちゃんの世話をしている間、母親は安心してBちゃんを迎えに行き、Bちゃんと個別に関わる時間を確保できる可能性が高まります。これは、既存のサービスを有効活用し、家族の「Aちゃんの育児をできるだけ在宅で行いたい」という方針とも合致する、現実的かつ具体的な解決策の提案です。
国試ポイント
新生児がいる多子世帯におけるきょうだい児への心理的ケアの重要性と、既存の社会資源(訪問看護、ファミリーサポートなど)を、家族の状況や要望に合わせて柔軟に活用・調整する能力が問われる問題です。特に、上の子の「赤ちゃん返り」や甘えに対する理解と、母親が上の子と関わる時間を確保するための具体的な支援策を提案できるかがポイントとなります。
混同注意
母親の身体的負担軽減策(例:父親の育児参加、ファミリーサポート利用)と、きょうだい児への心理的ケアを目的とした個別関わり時間確保策を混同しやすいです。また、きょうだい児への「説明」と「具体的な関わり」を区別することも重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、以下のような視点に注意して判断すると良いでしょう。1. 家族の主訴・最も困っていることは何か?2. 現在の家族状況・利用可能な資源は何か?3. 提示された選択肢は、主訴に対して直接的・効果的な解決策となっているか?4. 既存の資源をより効果的に活用する提案か、新たな負担を増やす提案か?5. 現実的に実行可能な提案か?
関連知識
多子世帯の育児支援(特にきょうだい児の心理的支援)、新生児訪問や産後ケアの役割、訪問看護サービスの内容と柔軟な利用方法、育児における社会資源の活用(ファミリーサポート、一時預かりなど)、親子の愛着形成とアタッチメント