Aさん(33歳、初妊婦、会社員)は夫と2人で暮らしている。身長160 cm、非妊時体重60 kg。妊娠17週1日の妊婦健康診査にて、児の発育に異常はなかった。体重は66 kgで4週前から4 kg増加している。血圧120/78 mmHg。尿蛋白(-)、浮腫(-)。排便は妊娠前と変わらず2日に1回出ている。Aさんは「同じ週数の友達は胎動を感じると言っていたのに、自分は感じられず心配です」と話す。 このときのAさんの状態で正常から逸脱しているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
妊娠20週以降の体重増加は、胎児の発育、羊水量の増加、子宮の増大、乳腺の発達、母体血漿量の増加などにより、通常は週あたり0.3〜0.5kgが目安とされます。Aさんの体重増加量は週あたり1.5kgと著しく多く、これは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高めるため、正常から逸脱しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 血圧120/70mmHgは正常範囲内であり、異常とは言えません。妊娠中は通常、血圧は非妊娠時と比べてやや低くなる傾向があります。選びやすい理由:高血圧は妊娠高血圧症候群の主要な症状であるため、血圧の数値に注目しやすいですが、この数値は正常です。混同注意:妊娠高血圧症候群の診断基準(収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg以上)
- 2. 排便回数が1日1回は正常範囲内であり、異常とは言えません。妊娠中はホルモンの影響や子宮による圧迫で便秘になりやすいですが、1日1回であれば問題ありません。選びやすい理由:妊娠中の便秘はよく見られる症状であるため、排便回数に注目しやすいですが、1日1回は正常です。混同注意:妊娠中の一般的な便秘症状
- 3. 正解。妊娠28週で体重増加量が週あたり1.5kgは著しく多く、正常から逸脱しています。妊娠中期以降の適切な体重増加量は週0.3〜0.5kgが目安です。この急激な増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを示唆する可能性があります。選びやすい理由:正しい選択肢であり、特に選びやすい要素はありません。
- 4. 胎動の自覚は妊娠18〜20週頃から始まることが多く、個人差があります。妊娠28週で「胎動の無自覚」という情報だけでは、即座に異常とは判断できません。ただし、胎動が全く感じられない場合は胎児の状態を確認する必要があります。選びやすい理由:胎動は胎児の健康状態を示す重要な指標であるため、無自覚という言葉に不安を感じやすいですが、本問題ではAさんが「胎動を自覚していない」と明記されているわけではないため、この情報だけでは判断できません。もし「胎動が消失した」という記述があれば異常と判断できます。混同注意:胎動減少や消失が胎児機能不全の徴候であること
国試ポイント
妊娠中の体重増加の目安と、異常な体重増加が示唆する病態を理解することが重要です。
混同注意
単なる食べ過ぎによる体重増加と、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの病態が背景にある急激な体重増加との区別。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の症例が出た際には、妊娠週数と体重増加量を照らし合わせ、適切な体重増加の範囲内であるか、週あたりの増加量が急激でないかを確認して判断します。
関連知識
妊娠中の体重増加の推奨量(BMI低値:12〜15kg、BMI正常:10〜12kg、BMI高値:7〜10kg)、妊娠高血圧症候群の診断基準(高血圧、蛋白尿)、妊娠糖尿病の診断と管理。