Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。 Aさんは「妊娠することは考えていなかったので、自分の体にどんなことが起こるのか想像もつきません」と話した。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。Aさんに説明する内容で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
妊娠初期からプロゲステロンの分泌が増加することで、消化管の蠕動運動が抑制され、便秘になりやすくなります。これは、妊娠によって体に起こる変化の中で、比較的早期から多くの妊婦に見られる症状の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。妊娠初期からプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加することで、腸の蠕動運動が抑制され、便の通過が遅くなるため、便秘は多くの妊婦に比較的早期から見られる症状です。
- 2. 尿漏れは、主に妊娠後期の子宮増大による膀胱への圧迫や、分娩後の骨盤底筋の緩みや損傷によって生じやすい症状です。妊娠初期の「次の妊婦健診まで」に起こる主要な変化とは言えません。正しくは:妊娠初期に起こりやすいのは「頻尿」です。子宮が大きくなり骨盤内の血流量が増えること、またホルモンの影響で膀胱が刺激されやすくなるため、頻繁に排尿したくなることがあります。選びやすい理由:排泄に関する変化であるため、妊娠中の身体変化と結びつきやすいと感じるかもしれません。しかし、尿に関する症状でも「尿漏れ」と「頻尿」では発生時期と主な原因が異なります。混同注意:頻尿(妊娠初期から起こりやすい)と混同しやすいですが、尿漏れは後期〜産後に多い症状です。
- 3. 腰背部痛は、主に妊娠中期から後期にかけて、子宮の増大による姿勢の変化(反り腰)、重心の移動、リラキシンなどのホルモンによる骨盤関節の緩みなどが原因で顕著になります。妊娠初期に全く起こらないわけではありませんが、便秘ほど一般的で特徴的な早期の変化ではありません。正しくは:妊娠初期から起こりうる可能性はありますが、一般的に顕著になるのは中期以降です。初期の主要な変化として挙げるには優先順位が低いです。選びやすい理由:日常的にもよくある症状であり、妊娠による体の変化と結びつきやすいイメージがあるため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:妊娠後期に顕著になる腰痛や、子宮収縮など他の原因による下腹部痛と混同しやすいです。
- 4. 下肢のけいれん(こむら返り)は、主に妊娠中期から後期にかけて、子宮増大による下肢の血行不良、カリウムやカルシウムなどの電解質バランスの変化、冷え、疲労などによって生じやすくなります。妊娠初期の「次の妊婦健診まで」に起こることは稀であり、便秘ほど一般的ではありません。正しくは:妊娠初期に起こりやすいのは「倦怠感」や「眠気」などです。ホルモンの影響で体がだるく感じることが多くなります。選びやすい理由:妊娠中のマイナートラブルとしてよく知られているため、時期を問わず妊娠中の症状だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:妊娠中期以降に顕著になるマイナートラブルと混同しやすいです。
国試ポイント
妊娠初期に妊婦に起こりやすい身体的変化について、基本的な知識が問われています。特に、ホルモン変動による影響で早期から現れる症状と、子宮増大や体型変化によって中期〜後期に現れる症状を区別できるかがポイントです。看護師が患者に適切な情報提供を行うために必要な知識です。
混同注意
妊娠中の様々なマイナートラブル(頻尿、腰痛、下肢のけいれんなど)と、それぞれの症状が現れやすい時期を混同しやすい。特に「頻尿」は初期から見られるが「尿漏れ」は後期以降に多い、という区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、選択肢に挙げられた症状が「妊娠初期、中期、後期、または分娩後」のどの時期に最も特徴的に現れるか、その原因と合わせて正確に判断できるかが重要になります。複数の症状について、それぞれの出現時期と原因を問う形式も考えられます。
関連知識
妊娠初期の身体的変化(つわり、頻尿、乳房緊満感、倦怠感、眠気など)、妊娠中期・後期の身体的変化(腰痛、下肢のけいれん、浮腫、静脈瘤、息切れ、尿漏れなど)、妊娠中のホルモン(プロゲステロン、エストロゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピンなど)の作用。