Aさん(80歳、男性)は人工肛門造設術を受けて自宅に退院した。ストーマ管理のため、訪問看護を週に1回利用している。Aさんは電車で隣県に住んでいる孫に会いに行きたいと希望している。Aさんの外出に向けた目標で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんが電車で隣県まで外出するという状況において、最も懸念されるのは、外出先で予期せぬストーマ装具のトラブル(特に脱落や漏れ)が発生した場合です。装具が脱落すると、排泄物が漏れてしまうだけでなく、皮膚トラブルにもつながるため、迅速かつ適切に対処できる能力は、安心して外出するために不可欠な目標です。他の選択肢は、日常的な管理や知識に関するものであり、特定の「外出」という状況下での緊急対応能力としては優先度が低くなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 食物繊維の制限は、排泄物の性状を管理する上で重要な場合がありますが、これは日常的な食事管理の一部であり、「外出」時に特化した、最も優先される具体的な目標とは言えません。特に、緊急時の対処能力とは直接関係が薄いです。正しくは:外出先で適切な食事を選択し、排便管理に影響が出ないようにできる。選びやすい理由:ストーマ管理において食事管理は重要であり、特にイレオストミーなどでは排泄物の性状が装具交換周期や皮膚トラブルに影響するため、重要だと感じやすいです。混同注意:一般的なストーマ管理における食事制限の知識と、外出時に特化した緊急対応能力や問題解決能力。
- 2. 正解。外出先でストーマ装具が脱落することは、漏れや皮膚トラブルに直結する緊急事態です。このような状況で自身が適切に対処できる能力は、安心して外出するための最も重要な準備であり、具体的な目標として最も適切です。特に長距離の移動を伴う外出では、予期せぬ事態への対応力が不可欠です。
- 3. 皮膚トラブルへの理解はストーマケアの基礎として非常に重要ですが、これは知識レベルの目標であり、「外出」という特定の状況で生じる可能性のある問題に対して「自ら対処できる」という実践的な能力を直接示すものではありません。理解しているだけでは、実際にトラブルが発生した際に対応できない可能性があります。正しくは:外出中に皮膚トラブルが生じた際に、初期対応や専門機関への連絡など、適切な行動が取れる。選びやすい理由:ストーマ周囲の皮膚トラブルは頻繁に起こるため、その予防や早期発見のために知識は不可欠であり、重要だと感じやすいです。混同注意:知識の習得と、実際に問題を解決するための具体的な行動能力。
- 4. 装具の購入先を知ることは、日々のストーマ管理において必要な情報ですが、これは日常的な物品管理の一環であり、「外出」という状況における緊急性の高いトラブルへの対処能力とは異なります。訪問看護を利用している状況では、既に物品の確保はなされていると考えられ、外出時の最も喫緊の目標とは言えません。正しくは:外出先に必要な装具や備品を十分に準備し、緊急時にも対応できるよう予備を携帯している。選びやすい理由:外出先での物品不足は困るため、どこで買えるかを知ることは安心につながるように見えます。また、予備の携帯も重要ですが、「購入先を把握している」こと自体は行動目標として優先度が低いです。混同注意:日常的な物品管理と、外出時の緊急対応に必要な準備やスキル。
国試ポイント
この問題は、人工肛門造設後の患者のストーマ管理において、特に『外出』という特定の状況下での自己管理能力と問題解決能力に焦点を当てています。看護師は、患者が安全に日常生活を送るための支援として、基本的な知識だけでなく、具体的なリスクとその対処法を指導し、患者自身が実践できる目標を設定する重要性を理解しているかどうかが問われます。優先順位付けの思考力が試されます。
混同注意
ストーマケア全般に関する知識と、特定の状況(外出、災害時など)における具体的なリスク管理・緊急対応能力を混同しやすいです。また、知識の理解と、その知識に基づいた実践的な行動・対処能力との区別が曖昧になりがちです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、単なる知識の有無だけでなく、提示された状況(例:旅行、災害時、自宅での入浴など)において、患者が『自律的に、かつ安全に』行動するために『最も優先すべき、具体的な行動目標やスキル』は何かを見極めることが重要です。特に、生命の安全、身体の健康維持、QOLの維持に直結する緊急時の対応能力に注目します。
関連知識
人工肛門の種類と特徴(コロストミー、イレオストミー、ウロストミー)、ストーマ装具の種類と選択、ストーマ周囲皮膚の観察とケア、排泄物の性状と食事管理、ストーマ合併症(皮膚炎、ストーマ脱出、狭窄など)、セルフケア指導の原則、患者教育。