退院2か月後、訪問看護師が訪問するとAさんの長男から「最近、父がよく話してくれるようになったが、言いたいことが伝わらずイライラしていることがある。どう対応していいかわからない」と相談があった。Aさんとのコミュニケーションについて、家族への助言で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
コミュニケーションに困難がある患者に対しては、話す側が配慮し、短く、分かりやすい言葉を選ぶことが重要です。これにより、患者の理解を助け、コミュニケーションへの負担を軽減し、円滑な意思疎通を促すことができます。この原則は、失語症や構音障害だけでなく、認知機能の低下がある場合など、幅広い状況で適用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 何度も聞き返す行為は、話している本人に「理解されていない」というストレスや焦燥感を与え、発話意欲を低下させる可能性があります。言葉が出てこないことへのイライラを増幅させ、コミュニケーションを拒否するようになる危険性もあります。正しくは:Aさんが伝えたいことを理解できない場合は、言葉以外の手段(ジェスチャー、指差し、筆談など)を促したり、別の表現を試してもらうように促すなど、本人の負担を軽減しつつコミュニケーションを継続する方法を検討すべきです。選びやすい理由:「理解しようとする努力の表れ」と誤解されやすいため。混同注意:「理解しようとする姿勢」と「話すことへの負担増」の区別。
- 2. 話している途中で間違いを指摘されると、本人は自信を失い、話すこと自体に抵抗を感じるようになります。特に、伝えたい内容があるにもかかわらず、それがうまくできない状況で訂正されると、自尊心が深く傷つく可能性があります。正しくは:Aさんが言い間違えたとしても、まずは伝えようとしている意図を汲み取ろうと努め、話の途中でさえぎらずに最後まで聞くことが大切です。必要であれば、後から優しく確認する程度に留めるか、別の表現で確認を促すなど配慮が必要です。選びやすい理由:「正しい言葉を教えてあげたい」という善意から選びやすい。混同注意:「教育的指導」と「コミュニケーション支援」の目的。
- 3. 正解。コミュニケーションに困難を抱える方には、情報処理能力や理解力が低下している場合があります。短く、明確で、分かりやすい言葉で話しかけることで、相手が内容を把握しやすくなり、精神的な負担も軽減されます。これにより、コミュニケーションへの意欲も維持されやすくなります。
- 4. 言葉での表現が難しい場合、非言語的コミュニケーション(表情、ジェスチャー、指差し、身振り手振りなど)は、本人の意思や感情を伝えるための重要な手段となります。言葉だけに固執することは、伝えたい内容を見逃すことにつながります。正しくは:Aさんの言葉だけでなく、表情やジェスチャー、声のトーンといった非言語的なサインにも意識を向け、総合的に意思を読み取ろうと努めましょう。言葉が出にくい状況では、これらの非言語的な手がかりが、Aさんの本当の気持ちを理解する上で非常に役立ちます。選びやすい理由:「言語によるコミュニケーションを重視すべき」という一般的な考えから選びやすい。混同注意:「言語コミュニケーションの重要性」と「非言語コミュニケーションの補完性」のバランス。
国試ポイント
コミュニケーション障害を持つ患者や、高齢者、認知機能が低下した患者とのコミュニケーション技法は、看護師の基本的な知識として頻繁に問われます。特に、患者の尊厳を尊重し、意思決定支援を行う上での具体的な関わり方や、家族への指導内容が重要視されます。非言語的コミュニケーションの活用や、患者の負担を軽減する声かけの仕方などがポイントです。
混同注意
コミュニケーション困難な状況での「理解しようとする努力」と「相手に負担をかける行為」の区別が重要です。例えば、何度も聞き返すことは一見努力に見えますが、相手に負担をかける可能性があります。また、言語表現の尊重と非言語表現の軽視の区別も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の問題が出た際は、患者のコミュニケーション能力の具体的な状態を想定し、『患者の負担を最小限にし、かつ最大限に意思表示を促すにはどうすべきか』という視点で選択肢を評価する。特に、非言語的コミュニケーションの活用や、環境調整(静かな場所など)、ツールの使用(筆談、絵カードなど)の選択肢にも注目する。
関連知識
失語症患者へのコミュニケーション技法(ゆっくり話す、短い文、ジェスチャー併用など)。認知症患者へのコミュニケーション技法(ユマニチュードなど)。高齢者へのコミュニケーション技法。非言語的コミュニケーションの重要性。患者中心のケア、意思決定支援。