午前9時、震度6強の大地震が発生した。発災直後、A病院では傷病者への対応として救急病棟に8床確保した。その応援のために各部署から看護師3名、医師2名、臨床工学技士1名、臨床検査技師1名、理学療法士1名が救急病棟に集まった。救急病棟のリーダー看護師は他部署から集まったスタッフとカンファレンスを行った。 リーダー看護師が指揮する内容で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
臨床工学技士は、生命維持管理装置を含む医療機器の操作、点検、保守、管理を行う専門職です。医療現場で安全に機器を使用するためには、臨床工学技士による定期的な点検や、使用前の動作確認が不可欠であり、リーダー看護師がその専門性を尊重し、適切に業務を依頼することは、チーム医療における連携の好例と言えます。この指示は、医療安全の確保と円滑な医療提供に直与します。
選択肢ごとの解説
- 1. 理学療法士の業務範囲は、運動療法や物理療法などの身体機能回復に関するリハビリテーションであり、採血は含まれません。採血は医師の指示のもと、看護師や臨床検査技師が行う医療行為です。正しくは:看護師または臨床検査技師に、患者さんの血液検査のために採血を行うよう指示する。選びやすい理由:医療チームの一員であるため、何らかの医療行為を依頼できると誤解する可能性があります。混同注意:各医療専門職の業務範囲について、具体的な内容を混同しやすいです。
- 2. 点滴(輸液)の実施には医師の指示が必須です。看護師が自己判断で輸液を行うことは、医療法や看護師法に違反し、患者さんの安全を脅かす重大な医療事故につながる可能性があります。正しくは:医師の指示を確認した上で、他の看護師に点滴を行うよう指示する。選びやすい理由:看護師は点滴の実施能力があるため、緊急時などであれば自己判断も許されるのでは、と考えるかもしれません。しかし、医師の指示なしでの実施は原則として認められません。混同注意:看護師の裁量と、医師の指示に基づく実施の範囲を混同しやすいです。医師の指示下での看護師の判断(例:滴下速度の微調整)と、指示なしでの自己判断は全く異なります。
- 3. 正解。臨床工学技士は、医療機器の操作、保守点検、安全管理を専門とする国家資格者です。医療機器が適切に動作しているかを確認することは、その専門業務の核となる部分であり、リーダー看護師が適切な医療提供のために依頼すべき内容です。
- 4. 患者さん本人による氏名確認は、医療安全の最も基本的な原則の一つであり、薬剤投与、検査、処置など全ての場面で徹底されるべき重要事項です。これを省略することは、重大な医療事故に直結するため、絶対に許されません。正しくは:医療スタッフ全員に、患者さん本人による氏名確認を徹底するよう指示する。選びやすい理由:多忙な現場において、効率化のために確認作業を簡略化したいという誘惑に駆られることがあるかもしれません。混同注意:患者さんの状況(意識レベル、意思疎通能力など)によって確認方法を工夫することと、確認自体を省略することを混同しやすいです。確認方法の工夫は必要ですが、省略はできません。
国試ポイント
この問題は、医療チームにおける多職種連携と、各医療専門職の役割・業務範囲に関する知識を問うものです。特に、看護師がリーダーシップを発揮する上で、他職種の専門性を理解し、適切な指示や依頼ができるかどうかが重要視されます。また、医療安全の基本原則(患者確認、医師の指示の必要性など)も同時に問われています。
混同注意
各職種の業務範囲の混同(例:理学療法士と作業療法士の業務の違い、臨床検査技師と放射線技師の違いなど)、あるいは看護師自身の業務範囲(特定行為など)との混同が起こりやすいです。また、緊急時における対応と通常時のルールを混同し、安全プロトコルを無視した選択肢を選んでしまう可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『各職種の国家資格で定められた業務範囲』と『医療安全の基本原則(特に患者確認と医師の指示の有無)』の2点を中心に、各選択肢がこれらに照らして適切かどうかを判断します。特に『自己判断』『省略』などの言葉には注意が必要です。
関連知識
医師法、保健師助産師看護師法、理学療法士及び作業療法士法、臨床工学技士法など、各医療専門職に関する法律に定められた業務範囲。医療安全の基本指針(患者確認の徹底、インシデント・アクシデント報告など)。チーム医療における連携の原則。