Aさん(33歳、初産婦、会社員)は夫と2人で暮らしている。妊娠28週5日、夕方から下腹部に生理痛のような痛みを感じ、少量の性器出血があったため来院した。来院時、子宮口2cm開大、未破水、8分おきに20秒持続する子宮収縮があり、切迫早産と診断された。子宮収縮抑制薬(リトドリン塩酸塩)の点滴静脈内注射と安静による治療が開始された。 点滴を開始して30分後に看護師が訪室すると、AさんはFowler〈ファウラー〉位で休んでいた。このときのAさんの状態で看護師が注意して観察すべき項目はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
点滴開始後30分という時間は、薬剤に対するアレルギー反応(アナフィラキシーショック)や血管迷走神経反射が発生しやすいタイミングです。これらの状態では、循環動態の変動が初期に現れやすく、脈拍の異常(頻脈、徐脈、不整脈など)が最も早く、かつ簡便に観察できる指標となります。患者がファウラー位で安静にしている状況でも、予期せぬ変化を見逃さないために脈拍の確認は重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 点滴開始後30分でFowler位という情報だけでは、SpO2に直結する呼吸状態の悪化を第一に疑う必要性は低い。アレルギー反応や血管迷走神経反射など、他の異常の兆候を先に観察することが一般的。正しくは:呼吸困難やチアノーゼなど、呼吸状態の悪化を示す症状が見られる場合に優先的に観察する。選びやすい理由:点滴によるアナフィラキシーショックや肺水腫を疑う場合、SpO2は重要な指標となるため。混同注意:呼吸器系の問題が顕在化していない時点での初期観察項目としては、循環系の変動を捉える項目の方が優先度が高い。
- 2. 点滴による血管迷走神経反射やアレルギー反応で血圧変動は起こり得るが、安静時の体位では、まず脈拍の変動を捉えることがより直接的で初期的な兆候となる場合が多い。特に血圧測定は手間がかかるため、迅速な確認には脈拍が優先される。正しくは:意識レベルの変化や顔色不良など、循環動態の異常を強く示唆する症状が見られる場合に、脈拍と併せて詳細に観察する。選びやすい理由:ショック症状を疑う場合、血圧は非常に重要な指標であるため。混同注意:循環系の異常全般で血圧は重要だが、初期のアセスメントではより簡便に早期の変化を捉えられる脈拍が優先されることがある。
- 3. 点滴開始後30分でFowler位という情報だけでは、呼吸数の異常を第一に疑う必要性は低い。呼吸苦の訴えや異常呼吸音がなければ、SpO2と同様に、呼吸器系の問題が顕在化していない時点での優先順位は高くない。正しくは:呼吸困難感の訴えや顔色不良、チアノーゼなど、呼吸器症状が観察される場合に優先的に観察する。選びやすい理由:アナフィラキシーショックでは喘鳴や呼吸困難が起こり、呼吸数が増加するため。混同注意:呼吸器系の問題が起こり得る状況ではあるが、初期観察では全身の循環動態を反映する脈拍がより広範な異常を早期に捉える指標となる。
- 4. 正解。点滴開始30分後は、薬剤へのアレルギー反応(アナフィラキシーショック)や、点滴速度・量による循環動態への影響、または血管迷走神経反射などが起こりやすい時間帯である。これらの異常は、初期症状として脈拍の変動(頻脈、徐脈、不整脈など)として現れることが多いため、最も簡便かつ迅速に確認すべき項目である。ファウラー位で安静にしているという情報からは、急激な状態悪化の兆候は読み取れないが、油断せずに全身状態の観察が必要。
国試ポイント
点滴管理における初期のアセスメント能力、特に薬剤投与後の生体反応の観察項目とその優先順位が問われています。特定の状況下で、どのバイタルサインが早期の異常発見に最も有効かを理解しているかが重要です。
混同注意
血圧やSpO2も重要なバイタルサインですが、点滴開始後の初期アセスメントにおいては、簡便かつ迅速に異常を捉える指標として脈拍が優先されることが多いです。血圧測定には時間がかかり、SpO2の低下は呼吸循環不全がある程度進行してから現れる傾向があるためです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合、点滴や薬剤投与後の初期観察では、全身状態の変化を早期に、かつ簡便に把握できる項目(意識レベル、顔色、脈拍など)を優先的に選択する視点を持つと良いでしょう。特に、ショック症状の初期サインとして脈拍変動が重要であることを意識してください。
関連知識
点滴静脈内注射の合併症(アレルギー反応、アナフィラキシーショック、血管迷走神経反射、循環性過負荷など)とその初期症状。バイタルサインの測定と異常時の対応。ファウラー位の意義と、体位による循環動態への影響。