Aちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。 入院4日、Aちゃんは解熱し活気が出てきた。翌日、看護師がAちゃんを観察すると、手指の先端から皮膚が膜のように薄くむけていた。この所見に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
川崎病の急性期が過ぎた後の回復期には、手足の指先から膜状に皮膚が剥がれる落屑が特徴的に現れます。これは川崎病の診断基準の一つにも含まれる重要な所見であり、疾患が回復に向かっていることを示すサインとアセスメントされます。そのため、緊急の処置や特別な皮膚科受診は通常不要で、経過観察が基本となります。
選択肢ごとの解説
- 1. ガンマグロブリン療法そのものの副作用として皮膚の落屑が直接的に起きることは稀です。川崎病の治療として行われますが、落屑は疾患自体の回復期症状です。正しくは:ガンマグロブリン療法は川崎病の治療法であり、その後に見られる落屑は疾患の回復期の症状である。選びやすい理由:川崎病の治療としてガンマグロブリン療法が行われるため、関連付けて考えてしまう可能性がある。混同注意:治療そのものの副作用と、疾患の経過による症状を混同しやすい。
- 2. 皮膚のツルゴール低下は脱水などによる皮膚の弾力性の喪失を指し、指先の膜状の皮膚剥離とは異なる所見です。正しくは:皮膚のツルゴール低下は皮膚の弾力性の低下を指し、この所見とは関連性が低い。選びやすい理由:皮膚の異常という点では共通しているが、具体的な症状が異なる。混同注意:様々な皮膚の異常所見と混同しやすい。ツルゴール低下は主に脱水や栄養状態の悪化で起こる。
- 3. 正解。川崎病では、急性期の熱性病状が収まった後の回復期に、指先や足先の皮膚が膜状に剥がれる落屑が特徴的に見られます。これは血管炎の回復に伴う皮膚の代謝変化と考えられています。
- 4. 川崎病の回復期における指先の落屑は、疾患の自然経過の一部であり、通常は特別な皮膚科的処置を必要としません。経過観察が基本です。ただし、他の合併症の可能性があれば別です。正しくは:川崎病回復期の落屑であれば、通常は緊急の皮膚科受診は不要であり、経過観察が適切である。選びやすい理由:皮膚の異常を見たら専門医に診せるべきだと考えるのは自然な思考だが、川崎病の文脈ではそうではない。混同注意:一般的な皮膚トラブルと川崎病に特異的な症状の対応を混同しやすい。
国試ポイント
川崎病の回復期における特徴的な身体所見とそのアセスメントについて問う問題です。川崎病の診断基準や病期の症状を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
他の小児疾患の皮膚症状(例:猩紅熱、手足口病など)や、一般的な皮膚炎、脱水による皮膚の変化などと混同しやすい。治療の副作用と疾患の症状の区別もポイント。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『疾患名とその特徴的な症状(特に病期ごとの変化)』を正確に結びつけられるかを確認する。そして、その症状が『治療の副作用』なのか、『疾患自体の経過』なのかを区別する。さらに、その症状に対する『適切な看護介入や医療的対応』を判断できるかを見る。
関連知識
川崎病の診断基準(主要症状:発熱、両側眼球結膜の充血、口唇の紅潮・いちご舌、四肢末端の変化、体幹の発疹、頚部リンパ節の腫脹)。合併症として冠動脈病変(冠動脈瘤など)があるため、回復期も定期的な心臓の評価が必要であること。治療法としてガンマグロブリン療法やアスピリン療法があること。