急性腎不全の症状について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
急性腎不全では、腎臓の機能が急速に低下するため、体内に老廃物や水分、電解質が蓄積します。特に、代謝性アシドーシスが生じると、体はこれを代償しようとして呼吸数を増やし(頻呼吸)、酸を排出する働きを強めます。これがクスマウル呼吸として観察されることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節痛は急性腎不全の主要な症状ではありません。合併症として二次的に生じる可能性はありますが、直接的な症状として挙げられることは稀です。正しくは:急性腎不全の症状としては一般的ではありません。選びやすい理由:尿毒症性関節炎の可能性を連想させるかもしれませんが、急性期における主要な症状ではありません。混同注意:慢性腎不全でみられる腎性骨異栄養症や痛風との混同を招く可能性があります。
- 2. 正解。急性腎不全では、腎機能の低下により酸性物質の排泄が滞り、代謝性アシドーシスをきたすことがあります。このアシドーシスを代償するために、呼吸中枢が刺激されて頻呼吸(クスマウル呼吸など)が生じることがあります。選びやすい理由:呼吸器疾患を連想させるかもしれませんが、代謝性アシドーシスの代償反応として重要です。混同注意:単なる呼吸器系の問題と捉えがちですが、代謝性アシドーシスとの関連で理解することが重要です。
- 3. 急性腎不全では、尿毒素の蓄積により消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振など)が出現することが一般的です。食欲が増進することはありません。正しくは:食欲不振や悪心がよく見られます。選びやすい理由:一般的に体調不良で食欲が落ちるという知識と逆なので、引っかかりにくいかもしれませんが、腎不全における食欲不振は特徴的です。混同注意:胃炎や消化器系の疾患で食欲が低下することから、間違えにくい選択肢です。
- 4. 視力低下は急性腎不全の直接的な症状ではありません。高血圧性網膜症など、基礎疾患や合併症によって生じる可能性はありますが、急性腎不全の主要な症状ではありません。正しくは:急性腎不全の直接的な症状とは異なります。選びやすい理由:慢性腎不全の合併症や高血圧性疾患と関連付けて考える人がいるかもしれませんが、急性期には直接現れません。混同注意:糖尿病性網膜症や高血圧性網膜症など、他の疾患の合併症としての視力障害と混同する可能性があります。
- 5. 下肢のむずむず感(むずむず脚症候群)は、慢性腎不全患者によく見られる症状ですが、急性腎不全の主要な症状としては一般的ではありません。尿毒素の長期的な蓄積に関連すると考えられています。正しくは:慢性腎不全の症状として一般的です。選びやすい理由:腎不全に特有の症状であるため、正しいと誤解しやすいですが、急性期ではなく慢性期に多く見られます。混同注意:慢性腎不全の症状と急性腎不全の症状を混同する可能性があります。腎不全全般で見られるという誤解を招くかもしれません。
国試ポイント
急性腎不全の症状は多岐にわたりますが、特に代謝性アシドーシスに伴う頻呼吸は重要な兆候の一つです。電解質異常、尿毒症症状(悪心、食欲不振、意識障害など)、体液量異常(浮腫、肺水腫など)も理解しておく必要があります。急性期と慢性期で出現しやすい症状の違いもポイントです。
混同注意
急性腎不全と慢性腎不全の症状の区別が曖昧になりがちです。むずむず脚症候群のように、慢性期に顕著な症状を急性期の症状と誤認する可能性があります。また、呼吸器疾患による頻呼吸と、代謝性アシドーシスによる代償性の頻呼吸のメカニズムを混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
頻呼吸が認められた場合、アシドーシスの有無やその原因を特定するために血液ガス分析や電解質測定を行う必要があり、重症度によっては透析療法の適応も検討されます。
関連知識
急性腎不全の病態生理(糸球体濾過量の低下、尿細管機能障害)、主な原因(腎前性、腎性、腎後性)、治療の原則(原因疾患の治療、電解質・水分管理、透析療法)を理解することが重要です。代謝性アシドーシスの原因と代償機構についても復習が必要です。