1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ベンチュリーマスクは、ベンチュリー効果を用いて酸素と空気を一定の割合で混合し、患者さんの1回換気量によらず、設定された吸入酸素濃度を安定して供給できる高流量システムです。これは、精密な酸素濃度管理が求められる状況(例:COPD患者など)において非常に重要な特性となります。他の選択肢は低流量システムに分類されるか、高濃度は供給できても1回換気量の影響を受けやすく、吸入酸素濃度が変動する可能性があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 鼻カニューレは、低流量システムであり、患者さんの呼吸パターン(1回換気量)によって吸入酸素濃度が変動しやすいという特徴があります。安定した酸素濃度は供給されません。正しくは:鼻カニューレは、低流量システムであり、患者さんの呼吸パターンによって吸入酸素濃度が変動するため、高濃度の安定した酸素供給には不向きである。選びやすい理由:手軽に装着できるため、広い範囲で使用されるという点で選択肢として考慮されがちですが、酸素濃度の厳密な管理が必要な場合には不適切です。混同注意:鼻カニューレは一般的に使用されるため、どのような状況でも対応できると誤解されることがあります。しかし、吸入酸素濃度の精密な調整には向きません。
- 2. フェイスマスクも低流量システムに分類され、マスクと顔の間の隙間や患者さんの呼吸パターン(1回換気量)によって、吸入される酸素濃度が変動しやすいため、安定した酸素濃度を供給することは困難です。正しくは:フェイスマスクも低流量システムであり、1回換気量の変動によって吸入酸素濃度が変化しやすいため、精度の高い酸素濃度調整には適さない。選びやすい理由:鼻カニューレよりも高濃度の酸素供給が可能であるという点で選ばれることもありますが、それでも呼吸パターンによる変動を完全に排除することはできません。混同注意:酸素マスクの一種であるため、ある程度の酸素濃度を供給できると考えられますが、厳密な固定濃度での供給はできません。
- 3. 正解。ベンチュリーマスクは、ベンチュリー効果を利用して、外部の空気と酸素を一定の比率で混合し、1回換気量に関わらず設定された吸入酸素濃度を安定して供給できる高流量システムです。精密な酸素濃度管理が必要な場合に用いられます。
- 4. リザーバー付酸素マスクは、高い吸入酸素濃度を供給できる高濃度酸素マスクですが、患者さんの呼吸パターン(1回換気量や吸気流量)によって吸入酸素濃度が変動する可能性があります。ベンチュリーマスクほど厳密に濃度を固定することはできません。正しくは:リザーバー付酸素マスクは高濃度酸素を供給できるが、高流量システムではないため、1回換気量の変動によって吸入酸素濃度が影響を受けることがある。選びやすい理由:高濃度の酸素を供給できるため、酸素濃度を調節できると誤解されやすいですが、あくまで『高濃度』であって『安定した固定濃度』ではありません。混同注意:高い酸素濃度が得られるため、どのような状況でも対応できると思われがちですが、1回換気量に依存せずに『一定の』酸素濃度を供給する機能はありません。
国試ポイント
酸素療法における酸素供給器具の特性、特に『低流量システム』と『高流量システム』の違い、およびそれぞれの器具が吸入酸素濃度に与える影響を理解しているかが問われます。ベンチュリーマスクが呼吸パターンに左右されず、設定した吸入酸素濃度を安定して供給できる唯一の選択肢であることを知っている必要があります。
混同注意
リザーバー付酸素マスクとベンチュリーマスクは、どちらも高濃度の酸素供給に関わる点で混同しやすいですが、リザーバー付酸素マスクは高濃度酸素を供給するが、1回換気量に依存せず固定濃度を供給するわけではない点が異なります。
次に同じ論点が出たら
この知識を基に、COPD患者への適切な酸素療法器具の選択や、呼吸不全の病態に応じた酸素供給システムの使い分けについて判断できるようになる。
関連知識
低流量システム(鼻カニューレ、単純酸素マスク):部屋の空気も同時に吸入するため、1回換気量によって吸入酸素濃度が変動しやすい。高流量システム(ベンチュリーマスク):酸素と空気を正確に混合して供給するため、1回換気量によらず安定した酸素濃度を供給できる。その他、非再呼吸マスクも高濃度酸素を供給するが、濃度調整の精密性ではベンチュリーマスクが優れる。酸素中毒やCO2ナルコーシスのリスクがある患者には、精密な酸素濃度管理が不可欠であることを合わせて理解しておくことが重要です。