Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
術後のストーマ周囲の浮腫は時間とともに軽減し、ストーマのサイズは変化する可能性があります。適切なサイズの装具を使用しないと、便漏れや皮膚トラブルの原因となるため、定期的なサイズ確認は必須です。特に退院時は、自宅でのセルフケアの自立を促す上で重要な指導です。
選択肢ごとの解説
- 1. 面板の交換は、装具の種類や皮膚の状態によりますが、一般的には数日に1回程度です。1日2回も交換すると、面板を剥がすたびに皮膚が刺激され、皮膚障害を起こしやすくなります。正しくは:「面板は装具に合わせて数日ごとに交換し、便が漏れたときや皮膚に異常があるときは早めに交換してください」選びやすい理由:清潔を保つために頻繁に交換したほうがよいと誤解しやすいためです。混同注意:パウチ内の排泄物の処理(1日に数回)と、面板の交換頻度の混同。
- 2. 装具交換は清潔操作で十分であり、滅菌操作は通常必要ありません。滅菌手袋の使用は過剰な清潔操作であり、費用や手間がかかるだけでなく、誤った清潔観念を植え付ける可能性があります。正しくは:「装具を交換する際は、石鹸で手を洗い、清潔な手袋や素手で行ってください」選びやすい理由:医療行為には滅菌が必要という一般的な認識があるため、ストーマケアも医療行為と捉えて滅菌が必要だと誤解しやすいため。混同注意:外科的処置や創傷処置における滅菌操作の必要性。
- 3. 面板を剥がした後の皮膚は、刺激に敏感になっていることがあります。熱いお湯は皮膚を乾燥させたり、刺激を与えたりする可能性があり、推奨されません。ぬるま湯と石鹸で優しく洗浄するのが適切です。正しくは:「面板を剥がした後の皮膚は、ぬるま湯と刺激の少ない石鹸で優しく洗浄してください」選びやすい理由:熱いお湯の方が汚れがよく落ちるという一般的な認識があるため。混同注意:一般的な入浴や食器洗いにおける温度設定。
- 4. 正解。術後早期はストーマ周囲の浮腫があり、退院に向けて浮腫が軽減するとストーマのサイズが小さくなることがあります。また、体重の変化などによってもストーマのサイズは変動する可能性があるため、定期的なサイズ確認は装具の密着性を保ち、皮膚トラブルを予防するために非常に重要です。選びやすい理由:ストーマケアの基本的な知識として、ストーマのサイズの変動とその管理の重要性を理解している受験者は選びやすい選択肢です。混同注意:一度測れば良いという誤解。
国試ポイント
人工肛門のセルフケア指導における基本事項の理解。特にストーマ周囲皮膚保護の重要性と、それに伴う装具選択・交換のポイント。
混同注意
滅菌操作が必要な場面と、清潔操作で良い場面の区別。日常生活における清潔操作の原則。
次に同じ論点が出たら
人工肛門の管理指導に関する問題が出た場合、ストーマ周囲の皮膚保護、便漏れ防止、快適性の維持に繋がる選択肢が最も適切であると判断する。
関連知識
ストーマ装具の適切な選択(ワンピース型、ツーピース型)、皮膚保護剤の種類と使用方法、ストーマ合併症(皮膚炎、ヘルニア、狭窄)とその予防。