A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。3歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときにDuchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーの確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
母親はA君のケアに手がかかり、姉と関わる時間が持てないことで姉が甘えたい気持ちを表現していると解釈できます。居宅介護サービスを導入することで、母親の介護負担を軽減し、姉と向き合うための時間的・精神的ゆとりを確保することが、きょうだい児の心理的ケア、ひいては家族全体の機能維持において最も優先される対応となります。
選択肢ごとの解説
- 1. まず家族内の問題解決を優先すべきであり、いきなり学校に介入を依頼するのは適切ではありません。家族への直接的な支援が先です。正しくは:まずは母親からの訴えに対して、家族への直接的なアプローチを検討します。選びやすい理由:学校の専門家という点で協力を得られると思いがちですが、介入の優先順位としては家族への直接支援が先です。混同注意:子どもの問題なので学校の専門家という発想になりやすいですが、状況は家庭内のストレスが原因と考えられます。
- 2. 姉はまだ8歳であり、病気の弟の世話を過度に負わせることは、精神的・身体的な負担を増加させる可能性があります。年齢に応じた役割分担が重要です。正しくは:姉の年齢と発達段階を考慮し、負担が過重にならない範囲で役割を与えるか、むしろ負担を軽減する方向で考えます。選びやすい理由:きょうだい同士の関わりを促すという点で良いことのように見えますが、具体的なケアの責任を負わせるのは不適切です。混同注意:きょうだいケア(シブリングケア)の考え方と混同しやすいですが、この年齢で責任ある見守りを任せるのは不適切です。
- 3. レスパイト入院は確かに介護者の休息に繋がりますが、家族全体での旅行は費用面や実現可能性においてハードルが高く、母親が訴えている「姉がしがみつく」という具体的な問題への直接的な解決策とはなりにくいです。まずは、より日常的なサポートを検討すべきです。正しくは:家族全員の旅行を提案するよりも、母親が姉と関わる時間を確保するための具体的な支援策を検討します。選びやすい理由:介護者(母親)の休息と家族の絆を深めるという点で魅力的に見えますが、現実的な解決策として最も優先されるものではありません。経済的、物理的なハードルが高いです。混同注意:レスパイトケアの重要性と、具体的な家族の問題解決策を混同しやすいです。レスパイトは目的の一つであり、方法はその状況に合わせる必要があります。
- 4. 正解。母親の悩みは、A君の世話に手がかかることで、姉と十分に関わる時間が持てていない点にあります。居宅介護サービスを導入することで、A君のケアの一部を専門職に任せ、母親が姉との時間を持つ余裕を生み出すことができ、問題の根本解決に繋がります。これは、母親の負担軽減と姉の心理的安定の両方に対応する最も優先すべき支援です。選びやすい理由:在宅サービスを利用していない状況で、具体的なサービス導入を促すことは、家庭への負担増と捉えられがちですが、現状の問題解決には最も効果的です。
国試ポイント
慢性疾患を持つ子どもの家族全体への支援、特にきょうだい児への心理的サポートと介護負担の軽減策について問う問題です。多職種連携や社会資源の活用に関する知識も必要となります。
混同注意
表面的な問題解決(例:学校への依頼)と、根本的な家族構造や心理的ニーズに対応する支援(例:介護負担軽減による時間確保)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『誰がどのような困り感を抱いているか』を明確にし、その困り感を解決するために『最も直接的かつ実現可能な支援は何か』という視点で判断します。特に、きょうだい児への影響は重要な視点です。
関連知識
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの進行によるADL変化と介護負担、きょうだい児ケア(シブリングサポート)、レスパイトケアの意義と種類、居宅介護を含む在宅サービスの種類と利用条件。