Aさん(42歳、女性)は、交通事故による脊髄損傷で入院し、リハビリテーションを受けた。Aさんの排泄の状況は、間欠的導尿による排尿と、坐薬による3日に1回の排便である。同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院することになった。初回の訪問看護は退院後3日目とし、その後は訪問看護を週2回受けることになった。入院していた医療機関から提供された患者情報のうち、初回訪問のケア計画を立案するのに最も優先度の高い情報はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脊髄損傷患者の排便管理は、自律神経過反射のリスク回避や皮膚トラブルの予防、生活の質の維持に非常に重要です。特に、退院直後の自宅環境での排便状況は変化しやすく、便秘は自律神経過反射の原因となる可能性があるため、初回の訪問看護では最終排便日時の確認を最優先し、排便コントロールが適切に維持されているか、便秘傾向がないかを把握することが重要です。これにより、患者の身体的苦痛の軽減と安全確保を図ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 食事摂取量は長期的な栄養状態や便秘傾向の把握に役立ちますが、初回の訪問看護で最も優先すべき緊急性のある情報ではありません。正しくは:食事摂取量は、栄養状態や排便習慣の傾向を把握するために重要な情報ですが、緊急性は低い。選びやすい理由:食事量も排便と関連するため、重要だと感じるかもしれません。混同注意:日々の体調変化や排便パターンに影響する情報と混同しやすいです。
- 2. 導尿回数は排尿管理計画の基本ですが、退院時にすでに指導が行われており、緊急に確認すべき情報としては排便情報より優先度が低いです。正しくは:導尿回数は間欠的導尿の管理上重要な情報であるが、初回訪問時に最も優先すべき情報ではない。選びやすい理由:排泄に関する情報なので、重要だと感じるかもしれません。混同注意:排尿管理の実施状況と、突発的な問題になりやすい排便の状況とを混同しやすいです。
- 3. 正解。脊髄損傷患者は自律神経反射異常を起こすリスクがあり、便秘や便が貯留している場合、血圧上昇などの自律神経過反射を誘発する可能性があります。また、排便は日によって変動しやすく、入院中の指導内容が退院後にきちんと実施されているか、あるいは問題がないかを初回訪問時に確認することは、患者の苦痛の緩和と安全確保の観点から最優先されます。
- 4. リハビリテーションの内容は継続的なADL維持・向上に必要ですが、初回の訪問看護で最も優先すべきは、退院直後の身体状況、特に排泄のような日々の生活に直結する管理状況の確認です。正しくは:リハビリテーションの内容はADLの維持・向上に重要だが、緊急性は低い。選びやすい理由:リハビリテーションは患者の生活の質を向上させる上で非常に重要であるため、優先したいと感じるかもしれません。混同注意:長期的なケア計画と、直近の緊急性・重要性の高い生活状況の確認を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、脊髄損傷患者の退院後訪問看護における、アセスメントの優先順位を問うものです。特に、脊髄損傷による排便管理の重要性と、それに伴う合併症リスク(自律神経過反射など)の知識が問われています。情報の中から最も緊急性が高く、患者の安全に直結する情報を見極める判断力が求められます。
混同注意
他の選択肢も排泄や患者の状態に関する情報であるため、どれも重要に見えます。しかし、退院直後であり、かつ脊髄損傷という背景を考えると、自律神経過反射のリスクがある排便状況の確認が最も優先されるという点で、他の情報との優先順位を明確にする必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、脊髄損傷患者の合併症リスク(褥瘡、感染、自律神経過反射など)と、それに直結する日々のケア(排泄、皮膚、体位変換など)の具体的な情報について、緊急性や重篤度を評価して優先順位を判断する練習をしましょう。
関連知識
脊髄損傷患者の排便管理(神経因性腸管機能障害)、自律神経過反射の症状と誘発因子、訪問看護における初回訪問のアセスメントの原則、間欠的導尿の管理、退院支援と地域連携。