Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。 放射線外来の看護師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
放射線治療を受けた皮膚は、放射線による細胞損傷のためバリア機能が低下し、炎症反応を起こしやすくなります。摩擦や刺激は皮膚炎を悪化させ、感染のリスクも高めるため、強くこすらないように注意することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 入浴直後の皮膚は一時的に水分を含んでおり、変化が見えにくい可能性がある。また、皮膚の観察は入浴直後に限らず、日常的に行うべきであり、特に乾燥時など皮膚の状態が落ち着いている時の方がより正確な評価ができる場合もある。正しくは:皮膚の状態は毎日、刺激が少なく皮膚が落ち着いた状態の時に確認する。特に乾燥や発赤、痛みがないか注意深く観察する。選びやすい理由:清潔な状態での観察は重要であるという認識から、入浴後が良いと考えやすい。しかし、タイミングに限定する理由が適切ではない。混同注意:一般的な皮膚観察のタイミング。
- 2. 放射線治療後の皮膚は炎症を起こしており、冷やすことで一時的な症状緩和にはなる可能性があるが、血流低下や知覚鈍麻を引き起こすリスクがある。また、湿布の成分や刺激が皮膚炎を悪化させる可能性があり、安易な使用は避けるべきである。正しくは:放射線が当たった部分に冷たい湿布を貼ることは避け、炎症が強い場合は医師の指示のもとで適切な処置を行う。クーリングを行う場合も、直接的な刺激を避ける配慮が必要。選びやすい理由:炎症がある部位を冷やすと症状が緩和されるという一般的な認識から選びやすい。混同注意:打撲や捻挫などの急性炎症に対する冷却処置。
- 3. 放射線治療後の皮膚はバリア機能が低下し、乾燥しやすくなるため、常に乾燥した状態に保つのではなく、保湿ケアが非常に重要である。適切な保湿を行うことで皮膚のバリア機能を保ち、皮膚炎の悪化を防ぐことができる。正しくは:放射線が当たった皮膚は、常に保湿剤などで潤いを保つようにする。清潔にした後に、刺激の少ない保湿剤を塗布することが推奨される。選びやすい理由:皮膚トラブルでは「乾燥させる」というイメージがある場合や、湿潤状態が感染源になりやすいという認識から選択しやすい。混同注意:湿潤環境を避けるべき他の皮膚疾患(例:水虫の一部、滲出液が多い褥瘡など)。
- 4. 正解。放射線治療により皮膚は脆弱化しており、物理的刺激に敏感になっている。強くこすることは皮膚のバリア機能をさらに損傷させ、皮膚炎の悪化、色素沈着、二次感染のリスクを高めるため、避けるべき最も重要なケアの一つである。選びやすい理由:(正答のため特になし)混同注意:(正答のため特になし)
国試ポイント
放射線治療後の皮膚ケアの基本原則(刺激の回避、保湿、清潔保持)を理解し、患者指導の要点として覚える。
混同注意
放射線治療後の皮膚ケアと一般的な皮膚トラブルのケア(例:火傷やアレルギー反応)では、アプローチが異なる場合がある。放射線皮膚炎は特異的な機序で発生するため、その特性を理解したケアが必要。
次に同じ論点が出たら
放射線治療後の皮膚ケアに関する問題が出た場合、皮膚への物理的・化学的刺激を避ける指導が適切であるかをまず確認する。次に、保湿や清潔保持に関する指導が適切かを判断する。
関連知識
放射線皮膚炎の症状(紅斑、乾燥、色素沈着、水疱、潰瘍)、重症度分類、保湿剤の選択、軟膏の使用法、紫外線防御の重要性。