Aさん(68歳、女性)は、胃癌のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ペプロウの看護過程における人間関係論では、患者と看護師の関係は「方向付け」「同一化」「開拓利用」「問題解決(終結)」の4つの段階を経て発展すると考えられています。この事例では、患者が自身の不安を看護師に伝え、看護師がその不安を認識し、共に対処法を考えるという、関係の初期段階に該当します。これは、患者が問題を認識し、看護師がそのニーズを把握し、今後の支援の方向性を確立する「方向付け」の段階に当たります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者と看護師が初めて出会い、患者が抱える問題や懸念を表明し、看護師がそれを認識して、今後の援助の方向性について初期的な合意形成を行う段階です。本事例では、Aさんが「痛みが怖い」という不安を表明し、看護師がそれを認識し、共に対処法を考える姿勢を示しており、この段階に該当します。
- 2. 同一化は、方向付け段階を経て、患者が看護師との関係の中で自分の問題解決への依存を深め、看護師を信頼し、同一化を図ろうとする段階を指します。本事例は関係の初期であり、まだその段階には至っていません。正しくは:患者が看護師を信頼し、問題解決に向けて依存を深めていく段階である。選びやすい理由:看護師が患者の不安を受け入れているため、心理的な結びつきがすでにできていると誤解するかもしれない。混同注意:患者の感情に共感することが、そのまま同一化の段階であると混同しやすい。
- 3. 開拓利用は、患者が看護師との関係を通じて、自分の問題解決のための資源や能力を積極的に探し、利用し始める段階です。まだ対処法を「考える」初期段階であり、実際に利用しているわけではありません。正しくは:患者が看護師の援助を受け入れ、自身の健康問題の解決のために、能動的に行動し、利用できる資源や解決策を探索・活用し始める段階である。選びやすい理由:「対処法について考えた」という部分から、すでに解決策を「開拓」しているように感じるかもしれない。混同注意:問題解決に向けた第一歩を、すでに「開拓」していると誤解しやすい。
- 4. 問題解決は、患者が看護師との協働を通じて、具体的な問題に対処し、独立性を回復していく最終段階です。本事例では、まだ問題解決のための「対処法について考え」始めたばかりであり、解決には至っていません。正しくは:患者が看護師との関係を解消し、自立して問題を管理できるようになる段階である。選びやすい理由:「対処法について考えた」という言葉から、問題解決に向けて動き出しているため、この段階だと錯覚しやすい。混同注意:問題の認識と解決への意欲が、そのまま問題解決の段階であると混同しやすい。
国試ポイント
ペプロウの人間関係論における患者-看護師関係の段階について、事例を通して理解しているかが問われています。特に、各段階の初期に見られる患者や看護師の言動を正確に判断する能力が求められます。
混同注意
各段階の具体的な定義や、それぞれの段階で患者と看護師がどのような相互作用をするのかを混同しやすい。特に「方向付け」と「同一化」、「開拓利用」と「問題解決」は隣接する段階であり、区別がつきにくいことがある。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、患者の具体的な言動や、看護師の対応が、どの段階の目標や行動様式に最も合致するかを詳細に検討する必要があります。特に、関係の進捗度合い(始まったばかりか、問題解決に向けて動いているか、解決済みか)に注目することが重要です。
関連知識
ペプロウの人間関係論(Orientation, Identification, Exploitation, Resolution)。各段階における患者と看護師の役割や目標、相互作用の特徴を理解しておくことが重要です。