ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症において、適切な抗レトロウイルス薬による治療と周産期管理を行うことで、母子感染の主要な経路である妊娠中・分娩時・授乳中のウイルス量を抑制し、新生児へのウイルス移行リスクを大幅に低減できるため、母子感染リスクを減少させることが可能です。また、HIVは主に性交渉によって感染が広がるため、性交渉時にコンドームを正しく使用することで、ウイルス曝露を防ぎ、感染リスクを効果的に低減できることから、コンドームの使用指導は非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者本人に先行して家族に病名を伝えることは、患者の自己決定権を侵害し、守秘義務にも反する不適切な対応である。正しくは:病名は、まず本人に伝え、本人の承諾を得てから、本人と一緒に家族に伝えることを検討する。選びやすい理由:家族への配慮から、早く情報を共有すべきだと考えるかもしれないが、患者のプライバシーと自己決定権が最優先される。混同注意:患者中心の医療における情報開示の原則と、家族への配慮の優先順位。
- 2. 日本では、HIV感染報告数のうち、同性間の性的接触(男性同性愛者間の性行為)による感染が最も多く報告されている。正しくは:日本では、同性間の性的接触による感染が最も多く報告されている。選びやすい理由:一般的な性感染症では異性間性行為が多いことや、開発途上国での主要な感染経路と混同しやすい。混同注意:世界全体の感染状況と日本の感染状況の違い、性感染症全体の傾向とHIVの特定の感染経路の割合。
- 3. 正解。抗レトロウイルス薬治療や帝王切開、人工乳による授乳回避などの適切な医療介入により、母子感染のリスクを大幅に減少させることが可能である。選びやすい理由:かつては母子感染リスクが高かったため、現在でも高いと誤解する可能性がある。混同注意:適切な医療介入がない場合の母子感染リスクと、介入後のリスク低減効果。
- 4. 正解。HIVは性的接触によって感染が広がるため、性交渉時にコンドームを正しく使用することは、感染予防に最も効果的な手段の一つである。そのため、その使用を指導することは非常に重要である。選びやすい理由:コンドーム以外の予防法(PrEPなど)もあるため、必ずしも唯一の予防法ではないという点に捉われるかもしれないが、普遍的かつ最もアクセスしやすい予防策として重要性は揺るがない。混同注意:コンドーム以外の新しい予防法の存在と、コンドームの基本的な感染予防効果の重要性。
- 5. HIVに感染しただけではAIDSとは診断されない。AIDSは、HIV感染によって免疫機能が著しく低下し、特定の指標疾患(日和見感染症や悪性腫瘍など)を発症した場合に診断される。正しくは:HIVに感染し、免疫不全が進行して特定の指標疾患を発症した場合に、後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断される。選びやすい理由:HIV感染とAIDS発症が同義語であると誤解している場合や、病気の進行度が不明確な場合に選びやすい。混同注意:HIV感染(ウイルスキャリアの状態)とAIDS(感染症の最終段階、指標疾患の発症)の概念の違い。
国試ポイント
HIV感染症の基本的な感染経路、予防策、治療と予後、患者への情報提供の原則について理解する。
混同注意
HIV感染とAIDS発症は同一視されやすいが、HIV感染はあくまでウイルスへの感染状態であり、AIDSはHIV感染によって免疫不全が進行し、特定の指標疾患を発症した段階を指す。
次に同じ論点が出たら
HIV感染症に関する問題では、感染経路、予防策、治療効果、そして患者の権利と尊厳を尊重した対応が問われることが多い。特に、感染経路の主流な変化や、最新の治療薬による予後の改善点に注目する。
関連知識
HIVの感染経路(性的接触、血液、母子感染)、予防策(コンドーム、PrEP、PEP)、治療(ARTによるウイルス量抑制)、社会的な偏見と差別、患者へのインフォームドコンセント。