Aさん(75歳、男性)は妻(75歳)と2人暮らしで、15年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。7年前よりレボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn & Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージIVで、要介護2である。妻は腰痛のため毎日リハビリテーション目的で通院中である。妻の介護負担を軽減するため、Aさんは毎月10日間、介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。今回は妻の腰痛が増強したため、Aさんは予定を早めて入所した。Aさんは握力が低下しているが、スプーンを使用し自力で食事を摂取している。食事中に姿勢が崩れることが多く、むせや食べこぼしがある。 妻の腰痛が改善したため、Aさんは自宅に戻ることになった。Aさんは「妻に負担をかけないように自分で動けるようになりたい。自宅でできる運動や注意することを教えてください」と看護師に話した。Aさんへの指導で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
歩行時に腕を大きく振ることで、体幹の回旋運動が促され、腰椎への負担が軽減されると同時に、全身運動としての効果も高まり、腰痛の改善と再発予防に寄与します。自然な歩行を促し、腰部の安定性を向上させることが期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 階段の上り下り運動は、腰椎に負担がかかりやすく、特に腰痛改善期には推奨されません。膝や股関節への負荷も大きいため、状態によっては悪化を招く可能性があります。正しくは:腰椎に負担をかけない範囲での、平地でのウォーキングから始めるなど、より低負荷な運動から段階的に行うべきです。選びやすい理由:運動することで症状が改善するという一般的な認識から、運動量の増加を促す選択肢と捉えられがちです。しかし、腰痛のある人にとって負荷が大きすぎる可能性があります。混同注意:運動全般が良いという誤解や、階段昇降が日常的な活動であり運動になるという認識。
- 2. 正解。歩行時に腕を大きく振ることは、体幹の回旋を促し、腰椎への負担を軽減しながら、全身のバランスを整え、効率的な歩行を助けます。これは腰痛改善期のAさんにとって適切な運動指導です。選びやすい理由:正しい歩行フォームは、腰痛予防・改善に有効であるため、専門知識を持つ看護師の指導として適切であると判断しやすいです。混同注意:特に混同するものはありませんが、単に歩くことと効果的な歩行方法の区別。
- 3. 小刻みに歩くことは、バランスが不安定になりやすく、かえって腰椎への衝撃や負担が増加する可能性があります。特に大股で歩くことが難しい場合に起こりやすいですが、腰痛改善のためには推奨されません。正しくは:正しい歩行は、かかとから着地し、足裏全体を使って地面を蹴り出すような、自然でスムーズな歩行を心がけるべきです。これにより腰椎への負担を分散させることができます。選びやすい理由:転倒予防のために小刻み歩行を指導する場面があるため、混同しやすいです。また、痛みがある場合に自然と小刻みになることから、それが良いことだと誤解されやすいです。混同注意:パーキンソン病患者などにおける転倒予防のための小刻み歩行指導。
- 4. Parkinson〈パーキンソン〉病のAさんには、歩く距離を一律に指示するよりも、すくみ足や転倒に注意しながら、腕を大きく振るなど歩き方を工夫するよう助言することが適切です。正しくは:初期段階では、無理のない範囲で短い距離から始め、徐々に距離や時間を延ばしていくべきです。例えば、10分程度のウォーキングから開始するなど、個人の状態に合わせた目標設定が必要です。選びやすい理由:運動量が多いほど効果があるという誤った認識から、より積極的な運動を推奨する選択肢として魅力的に映る可能性があります。しかし、腰痛患者には過度な負荷は禁忌です。混同注意:健康増進のための一般的な運動推奨と、腰痛患者に対するリハビリテーションとしての運動指導の区別。
国試ポイント
腰痛患者への運動指導の原則と具体的な方法を理解しているか。特に、体幹の安定性を高めつつ、過度な負荷を避ける運動が重要であることを問うている。
混同注意
腰痛改善のための運動は、痛みがない範囲での適切な運動負荷が重要であり、過度な運動や不適切な姿勢での運動は悪化させるリスクがあるため、運動量や方法の選択が重要であること。
次に同じ論点が出たら
腰痛患者への運動指導の問題が出た場合、腰椎への負担が少なく、体幹を安定させる効果のある運動や、全身のバランスを整える運動が適切かどうかを判断基準とする。
関連知識
腰痛患者への運動指導では、腹筋や背筋を強化する体幹トレーニング、ストレッチング、水中運動なども有効である。個々の患者の状態に応じたオーダーメイドの指導が求められる。